2021年12月6日

犬を人間のいくつかの性質を持っているとして愛撮したエリオット・アーウィット

Two dogs in goggles
Two dogs in goggles, Yokohama, Japan, 2003
Elliott Erwitt

エリオット・アーウィットは1928年6月26日、フランスのパリで生まれた。1939年、アーウィットが10歳のとき、ロシア出身の一家はアメリカに移住した。ニューヨークのニュースクール・フォー・ソーシャル・サイエンスとロサンゼルス・シティ・カレッジで1950年まで写真と映画制作を学ぶ。その間、アシスタント・フォトグラファーとして活躍、エドワード・スタイケン(1879-1973)やロバート・キャパ(1913–1954)などの著名な写真家と出会う機会を得た。アーウィットは、FSA(Farm Security Administration; 農業安定局または農業保障局)のロイ・ストライカー(1893-1975)に雇われ、スタンダードオイル社のプロジェクトを担当した。その後、フリーランスの写真家として活動を始め『ライフ』『ルック』『ホリデイ』誌などで活躍した。

Felix, Gladys and Rover
Felix, Gladys and Rover, New York, 1974

1953年、アーウィットは写真家集団マグナムフォトに参加し、国際的なプロジェクトに参加することができた。アーウィットが広く取り上げてきたテーマは犬。『エリオット・アーウィットの犬』(2008年)『ワンワン』(2005年)『ドッグ・ドッグ』(1998年)『雌犬の息子』(1974年)と、4冊の本で犬が取り上げられている。一番最初の本のタイトルはとても興味深くユーモラスである。アーウィットは犬を、ある状況では面白く、人間のいくつかの性質を持っていると表現している。その後、2009年に『アンドレ・S・ソリダールの芸術』を出版し、2011年にはロンドンのポール・スミス・ギャラリーで作品展を開催した。

Two bull dogs
Two bull dogs and their owner, New York, 2000

これに先立つ2002年、アーウィットは、写真の芸術と分野への貢献が認められ、英国王立写真協会から100周年記念メダルと名誉フェローシップを授与された。セーターを着たチワワと女性の足の大きさを対比させた街頭写真(1946年)ノースカロライナ州の噴水(1950年)、窓からの光に照らされたベッドの上の子供を見つめる、アーウィットの妻の写真(1953年)カリフォルニア州で車のサイドミラー越しに撮影されたカップルの写真(1956年)など、彼の代表的な写真はすべてアメリカで撮影されたものだ。写真だけでなく、1970年代から映画にも時間とエネルギーを費やしてきた。

family
A head of the family, Paris, France, 1989

テレビのコマーシャルフィルム、ドキュメンタリー、そして長編映画を制作した。例えば『アフガニスタンのヘラートのガラス職人』(1977年)『赤、白、そして青い草』(1973年)『美しさは痛みを伴わない』(1971年)『アーサー・ペン:映画監督』(1970年)などである。これ以外にも『ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト』(2009年)では追加撮影を、『ボブ・ディラン:ノー・ディレクション・ホーム』(2005年)ではスチール撮影を、1970年代の『ギミー・シェルター』ではカメラオペレーターを務めた。

looking at her baby
A mother and her cat looking at her baby, New York, 1953

2011年には、ニューヨーク・ドキュメンタリー映画祭の「エリオット・アーウィットの夕べ」で、彼の作品の数々が上映された。また、ダグラス・スローン監督のドキュメンタリー映画『エリオット・アーウィット:私は犬に向かって吠える』にも出演している。エリオット・アーウィットは、世界的に有名な写真家であり、商業写真の分野で成功を収め、写真に多大な貢献をしてきた。皮肉や洒落、ユーモアを作品に取り入れることで知られているが、一方で、冷静で感情的な写真も制作している。その作品は、何の苦労もなく作られているように見えるが、技術や洞察力、タイミングには細心の注意が払われている。

gallery Meet our Artists: Elliott Erwitt (born 1928) | Holden Luntz Gallery | Palm Beach, Florida

0 件のコメント: