2020年11月20日

陰謀論 Stop the Steal の狂気

インターネット百科事典ウィキペディア英語版は Stop the Steal を「米国のドナルド・トランプ大統領の一部の支持者が、2020年の大統領選挙で不正が行われているという、虚偽の主張を広めている米国の右翼の陰謀論」と説明している。Facebook のページや Twitter で、制御不能のウイルスのように押し寄せ、誤報と暴力的なレトリックを広めてきた。しかし Stop the Steal は多くの人にとって2020年の新しい政治スローガンのように聞こえるかもしれないが、それはドナルド・トランプ大統領とジョー・バイデンとの闘いにおける不正投票についての広範な懸念の上に有機的に出現したものではない。何年も前からあったからだ。起源はベテランの共和党工作員であり、自称「汚いトリックスター」であるロジャー・ストーンに遡るのである。

ロジャー・ストーンとニディア夫人(2020年2月7日)

ストーンの政治行動委員会は2016年に Stop the Steal というウェブサイトを立ち上げ、大統領選に先駆けて民主党の候補者)は「選挙を盗むだろう」と吹聴して1万ドルの寄付を募ったのである。その Stop the Steal は2018年の中間選挙の頃に再浮上したが、本当に火がついたのは2020年だったのである。Facebook グループは、右翼の工作員の緩い連合によって管理されていた。そのうちのい何人かは元トランプ顧問スティーブ・バノンと一緒に働いてきたが、グループは Facebook が今年11月5日に閉鎖措置をする前は、1日余りで数十万人のフォロワーを集めていたという。ストーンはバイデンが選挙を盗もうとしているという根拠のない主張を捏造するために、極右ラジオのコメンテーターであるアレックス・ジョーンズの番組に出演、バノンは彼のポッドキャスト上で同様の陰謀論をエコー、選挙を「大規模な詐欺」と呼んでいた。

ペンシルベニア州議会に集まったトランプ支持者(2020年11月5日)

誤解を招くようなコンテンツをシャットダウンをしようとした Facebook の努力は遅過ぎた。250万人のフォロワーを集めていたのである。しかも単なるキャンペーンスローガンや資金調達のウェブサイトではなく、投票所を監視するボランティアを求める自称「投票保護者」プロジェクトにもなったのである。現在 StopTheSteal.org は、ストーンの個人ウェブサイト StoneColdTruth.com にリダイレクトしているが「広範囲にわたる不正投票」に関する陰謀説を投稿しているようだ。トランプ大統領は CNN テレビやニューヨークタイムズなどに批判されると「フェイク」と切り捨ててしまう。米国の保守派の政治家や支持者の間では、最近になってソーシャルメディア Parler に人気が急上昇しているという。トランプ大統領の長女イヴァンカがアカウントを開設したが、すでに20万人のフォロワーを集めているそうだ。Parler は検閲に対して強く反発し言論の自由を守ると主張している。どうやらその意味をはき違えていると思う。米国の民主主義を右翼が破壊しているが、日本にもトランプ擁護の著名人が少なからずいることに驚く。同類相憐れむ右翼たちである。

CNN  Stop the Steal's massive disinformation campaign connected to Roger Stone | CNN

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