2019年10月13日

過激派組織 ISIS と戦ったクルド人女性戦闘員たち

クルド女性防衛部隊(YPJ)の戦闘員

クルド女性防衛部隊の旗
クルド人民防衛隊 YPG(Yekîneyên Parastina Gel)の写真記録チームが、写真共有サイト Flickr にアカウントを持ってることを最近知った。開設は2013年12月で、現在1,300点余りの写真がアーカイブされている。全てに目を通すには時間がかかりそうなので、拾い読みをしてみたが、目に止まったのはクルド女性防衛隊 YPJ(Yekîneyên Parastina Jin)のそれだった。この民兵集団には現在18歳から40歳までの7,000名の義勇兵である。可憐で美しい若き兵士が銃を手にしている姿を見ると、銃ならぬスマートフォンを手にした、日本の女性たちがいかに平和な世界にいるか痛感する。

2014年9月、過激派組織 ISIS はシリア北部、トルコ国境に接するクルド人の拠点都市コバニ支配を目的に包囲戦を行った。翌年1月、ISIS を迎撃していたクルド人民防衛隊が防衛に成功したが、YPJ の戦闘員たちが重要な役割を果たした。部隊の約40%が女性だったのである。女性の社会参画が進むアメリカでさえ、軍における戦闘任務に女性兵士の参加が解禁されたのは2015年12月のことだった。それはともかくコバニをめぐる攻防は、当時シリア内戦で最も注目される戦いだったのである。女性の社会参画が遅れがちな土地で、クルド人女性が最前線に立った理由は一様ではないようだ。YPJ の場合、その参加は自由意志に基づくもので、強制されたものではなかった。クルド人社会ではアラブ人社会と比べて、イスラームの戒律や男性優位の構造が弱く、これが女性戦闘員登場の一因になったようだ。トランプ米大統領はシリア北東部からアメリカ軍を撤退させるといきなり表明した。YPG を見捨てたわけだが、これによってトルコは10月9日、シリア北東部への軍事作戦を開始し、クルド人戦闘員277人が死亡したと発表した。トルコ政府は、クルド人民防衛隊 YPG をテロ組織と見做している。 YPJ の女性戦闘員たちがどのような状況になっているか気がかりだ。

flickr  Kurdishstruggle: The team of Kurdish Photographers & Fighters on Flickr

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