2019年10月26日

キングレコードの民族音楽シリーズは音の世界遺産

画像をクリックすると拡大表示されます

一昨日ポストしたばかりのエントリー「クルディスタンの音楽に惹かれる」の末尾に、キングレコードの「ワールド・ミュージック・ライブラリー」は、音の世界遺産とも言える貴重な音源と書いた。端的に言えば、ユネスコの世界無形遺産に認定されているジャンルの音源を、多数取り揃えているということなのだが、取りあえず音楽家の坂本龍一の推薦文の一部を紹介したい。
20世紀に始まったメディアの発達と急速なグローバル化のせいで、その多様性が急速に世界から失われつつあるのは、こと音楽だけでなく言語や伝統的民俗文化も同じです。この百年だけでも数千の言語が失われたとも言われます。音楽はどうでしょう。研究者に発見されず、登録されないまま失われた唄や音楽も、数知れずあるかもしれません。ぼくたちは、このような世界の多様な音楽を、これ以上失うわけにはいきません。それだけでなく、一度失われそうになったアイヌ語やゲール語が復活しつつあるように、なんとかそれらがこれからも人類の共通遺産として次世代に受け継がれることを、せつに願うものです。
若き日の小泉文夫
このシリーズは1999年に全100タイトルを発売、10年後に旧シリーズをベースに新録、未発売音源などを追加し、全150タイトルをリリースしたものだ。音源は日本の民族音楽学の巨人、東京芸術大学教授だった小泉文夫(1927-1983)が1960~70年代に行った、今や聴くことの出来ない貴重なフィールドレコーディングから、2008年の最新高品質デジタルレコーディングまで網羅している。小泉文夫の録音をはじめ、これまでキングレコードが録音し未発売となっていた秘蔵音源の初 CD 化もある。また各国の民族音楽の大物アーティストの新録音と、新アイテムを30タイトル以上導入、従来のラインナップをさらにパワーアップさせている。アメリカでは議会図書館が民謡蒐集家の手によって、伝承音楽を録音した。またスミソニアン学術協会とアメリカ国営スミソニアン博物館が傘下に置く、非営利レコード・レーベル Smithsonian Folkways も積極的に伝承音楽の記録を残している。しかしキングレコードの「ワールド・ミュージック・ライブラリー」は私企業の事業である。その音源の質と量から、これはまさにユネスコの「世界遺産」に匹敵すると思う。在庫がある巷のレコード屋さんは稀有だし、通販サイトにも円滑に入荷されていないようだが、ご安心を。下記リンク先の直販サイトで入手可能である。

King e-Shop  キングレコード株式会社「ワールド・ミュージック・ライブラリー」公式直販サイト

0 件のコメント: