2019年6月10日

富士フイルムが黒白フィルムの開発を再開

ネオパン100 ACROS は 135から 中判 120 大判 4x5 8x10 まで揃っていた

新開発の ネオパン100 ACROS II
富士フイルムの6月10日付けニュースリリースによると、黒白フィルムの開発を再開し「ネオパン100 ACROS(アクロス)II」をこの秋にリリースするという。発売を予定されているのは、135および120の2種類。同社は黒白フィルムの需要の減少と、生産に欠かせない原材料が入手困難になったため、黒白フィルムの販売を昨2018年の秋に終了している。今回開発した「ネオパン100 ACROS II」は、感度ISO100の超高画質な黒白フィルムとして、世界最高水準の粒状性と立体的な階調再現、優れたシャープネスを備えており、風景・山岳写真、ポートレート、製品写真、建築写真から、長露光撮影の天体・夜景写真など、幅広い分野の撮影に適しているという。ニュースリリースによると特長は次の通り。
当社独自の「Super Fine-Σ粒子技術」[*]を採用することにより、感度ISO100の黒白フィルムとして世界最高水準の粒状性を実現。
当社従来品「ネオパン100 ACROS」に比べハイライト部の階調をメリハリのある設計とし、立体的な階調再現が可能。
世界最高水準のシャープネスにより、被写体の輪郭を強調した描写が可能。
長い間「ネオパン100 ACROS」を愛用してきた。非常に優れた製品で、世界的にも評価が高かったため、まさか生産中止になるとは思っていた。それだけに製造中止に強いショックを受けたたことが思い出される。富士フイルムは「イメージング分野におけるリーディングカンパニーとして今後も"アナログからデジタルまで"幅広い分野において多様化するお客さまのニーズにお応えし、より良い製品・サービスを提供し続けることで、一枚の写真の持つ力、素晴らしさを伝えつづけます」と誠に心強い宣言をしている。この勢いで大判用もぜひ復活して欲しいが、いささか無理な注文かも知れない。それはともかく、デジタル全盛の時代、唐突感は否めない。復活の理由は「フィルム愛好家をはじめフィルム独特の風合いによる写真を好むSNS世代の若年層を中心に、当社の黒白フィルムの販売継続を望む声が多く寄せられたことを受けて」だという。忘れかけていた懐かしいフィルムだが、若い世代の要求に応えたという点が二重に嬉しい。

[*] 写真フィルムに含まれるハロゲン化銀粒子のサイズと、その組成を精密にコントロールすることで、感度と優れた粒状性を両立させ、プリントの高画質化に寄与する技術。

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