2019年4月1日

改元狂騒曲

アドビ社が追加した新元号に対応した合字

テレビの電源を入れたら、安倍晋三首相が新しい元号について、何やら得意げに喋っていた。チャンネルを替えても同じだったので、あわてて電源を切った。この人の顔を見ると気分が悪くなるからだ。後でネットで調べてみたところ、記者会見で「春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように一人ひとりが明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる、そうした日本でありたいとの願いを込め、決定した」と述べたそうだ。有識者による元号に関する懇談会では「国書を典拠とすべきだと有識者全員が言っていた」とNHKの番組で公表していたたそうだが、自らの提案じゃなかったかと思われる。出典については、菅義偉官房長官が墨書を掲げながら、万葉集巻五、梅花の歌三十二首の序文から引用したと説明した。
于時初春月 氣淑風梅披鏡前之粉 蘭薫珮後之香
浅学ゆえ万葉集に関しては、はなはだ不案内だが「初春の令月にして気淑く風和ぎ梅は鏡前の粉を披き蘭は珮後の香を薫す」との内容で、梅の開花とともに訪れた春への喜びをうたった部分だそうである。これまでの「大化」から「平成」の247元号は、典拠がわかっているものはすべて『五経』や『史記』など中国の古書からとられてきたとされるそうだが、この伝統を破ったことになる。背景にあるのは、安倍首相の元号の政治利用に他ならないだろう。英国のデイリーテレグラフ紙は「安倍保守政権の国粋主義的傾向と結びついているように見える」という論評を加え、日本の右傾化を懸念する報道をしている。漢字の祖国である中国では、令和は零和に通ずる、すなわち平和ゼロという極めて縁起のよくない元号、漢字のなんたるかをわかっていないという皮肉がネットで飛び交ったという。各地で新聞の号外を奪い合いする騒ぎが起きたそうだが、すんなり令和を受け入れる風潮、いささか不気味に感ずるの私だけだろうか。

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