2016年6月1日

アメリカは多くの犯罪について謝罪していない

ベトナム戦争中、アメリカ軍が撒いた枯葉剤で汚染されたダナン空港近郊の畑。警告看板には「ダイオキシン汚染ゾーン - 家畜、家禽及び漁業活動は許可されていません」と書かれている。(AP Photo/Maika Elan)

アメリカの政治については疑問を持つことが多々ある。議会図書館などのアメリカ政府の文化活動は高く評価しているし、私はFacebookに「アメリカンルーツ音楽」というページを作ってるくらいだから、少なくとも大衆音楽は好きである。アフリカ系アメリカ人やプアホワイトといった、いわば底辺の人たちが作り上げたという点で惹かれる。また政府におもねないジャーナリズムも、鋭い側面を見せることがしばしばあり感心する。オバマ大統領が広島を訪問した前日だからやや旧聞めくが、5月26日付けワシントンポスト紙電子版が「広島だけではない:アメリカが謝罪してないその他もろもろ」という記事を掲載した。ここにメモしておきたい。
  • ベトナムで枯葉剤散布
  • 1953年のイランのクーデター
  • 1973年のチリのクーデター
  • 西アフリカとの奴隷貿易
  • コンゴの独裁者への支援
  • 2003年のイラク侵攻
  • イラン航空655便撃墜事件
広島、長崎への原爆投下は紛うことなき史上最悪の戦争犯罪であることは言うまでもない。また、この記事にはないが、戦時中のアメリカにおける日系人の強制収容も許しがたい、非人道的蛮行だった。前エントリー「オバマ米大統領と核のフットボール」で触れたが、大統領の広島訪問は不思議なことに日本のマスメディアの異常な絶賛を浴びた。新聞テレビの「現職の米大統領が被爆地を訪問したこと自体を評価すべき」「謝罪しなかったのは原爆投下を容認する米国内の世論に配慮せざるを得なかったため」といった論調に違和感を感ずる。原爆の使用は過去においても、現代においても、たとえそれが自国内であっても、一番重い戦争犯罪だ。私はどうやら少数派のようだが、ワシントンポスト紙の記事に救われた思いがする。

Washington Post
It’s not just Hiroshima: The many other things America hasn’t apologized for (The Washington Post)

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