フォレストの胸像の撤去を求める活動家たち(2017年8月)撮影者不詳
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フォレストと南軍旗 |
米国テネシー州ナッシュヴィルの日刊紙 Tennessean の12月10日付電子版によると、州議事会議長で共和党のジェレミー・ファイソン議員(1976-)が、州議会議事堂に設置されているネイサン・ベッドフォード・フォレスト(1821–1877)の胸像を撤去して、誰か他の人の胸像を見たいと言い出したという。フォレストは南軍の退役軍人で、南部連合の奴隷商人だった。南北戦争のピロー砦の戦いで、北軍の武装していない黒人捕虜を虐殺した部隊を率いていた、として戦争犯罪で告発された。また白人至上主義の人種差別秘密結社として悪名高い、クー・クラックス・クラン(KKK)の結成者といわれている。1973年、民主党のダグラス・ヘンリー上院議員(1926–2017)が、議事堂にフォレストの胸像を設置する決議案を提案したが、これは1973年4月13日に通過して、1978年11月5日に設置された。反対運動が起こり、抗議団体が生まれたが、歴史の一部であり、そのままにしておくべきだと発言した。2017年になり、共和党所属のビル・ハスラム知事(1958-)が胸像を撤去するようにと呼び掛けたが、議会に拒否された。
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ドリー・パートン |
ファイソン議員は、メンフィス出身でアフリカ系米国人の民主党議員 G・A・ハーダウェイ(1954-)に、フォレストの著書を読んだことがあるかと訊かれた。これを機に歴史を探索、フォレストの胸像を撤去すべきだと考えるようになったようだ。そこで白羽の矢を立てたのが、カントリー音楽界の大御所、ナッシュビル在住の国民的人気歌手、ドリー・パートン(1946-)だった。テネシー州セビア郡ピッツマンセンターの貧しい家に生まれ育ったというドリーは『テネシーの山のわが家』(
My Tennessee Mountain Home)と 題した歌を作っている。同性愛者コミュニティの支持者であるドリーは、彼女が故郷に建設したテーマパークの「ドリーウッド」で、ファンが非公式に「ゲイの日」を開催したため、KKK に脅迫されたことがあるという。州議会議事堂には7つのアルコーヴ(alcove)があるが、7つが白人の男で埋まっている。だから女性を登用したらどうかという提案だった。マスメディアの問い合わせに対し、ドリーの事務所はコメントを控えているようだ。フォレストの胸像を撤去するには州議会と、歴史委員会の両方による投票が必要になる。提案が採択されれば、民主党議員の発案でできた胸像が、共和党議員の提案で撤去されることになる。民主党はリベラルで、共和党は保守と思い込んでいた私にとって、これはまさにコペルニクス的転回だ。
Group Demands Removal Of Nathan Bedford Forrest Bust From State Capitol (Aug. 2017)
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