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Newsweek July 26, 2004 |
最近
「3,500枚のCDを捨てた話」と題した興味深いブログ記事を読んだ。モノとしての音楽ディスクを捨てる、一種の断捨離なのだろう。なぜ捨てる決心をしたのだろうか。まず最新情報が届かない音楽雑誌を購読しなくなる。そして iPod の登場によってデジタルダウンロードへ移行し CD が脱落したという。さらに Spotify が上陸し、ストリーミングがメインになり「音楽を所有すること」「音楽を購入すること」をやめてしまったそうである。3,500枚の CD を所有した音楽愛好家の大胆な変身である。これを読んで、スティーブ・ジョブスを思い出した。オーディオマニアとして知られ、高価な装置を所有していたようだ。だから MP3 プレーヤーである iPod の音質に満足したとは思えない。にも関わらず、開発販売に踏み切ったのは、ヒット商品になるという予感があったからだろう。ジョブスは自分の子どもに、後に開発されたタブレットを触らせなかったという。つまり信条とビジネスを使い分けた人だった。それはともかく、今日の音楽ストリーミングの魁(さきがけ)が iPod であったことは間違いない。ところで私だが、ネットワーク・オーディオ・プレーヤーを持っているくらいだから、クラウド音源を無視しているわけではない。しかし CD や LP を断捨離する気にはなれない。音楽ディスクは単に聴くだけのものではない。ジャケットの写真やイラストは観るものであり、ライナーノーツは読むものであるからだ。特に LP 時代のジャケットは芸術作品に相応しいものが多々あった。解説書はアーティストや曲目の紹介、歌詞、録音データなど、資料としての価値がある。断捨離できない理由である。とはいえ当該ブログの内容を揶揄する気は毛頭ない。潔い見識にひたすら感心するばかりで、モノを所有することに拘る自分を情ないと痛感する。
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