京都大学(京都市左京区吉田本町)2018年5月21日
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2012年8月16日(クリックで拡大) |
京都市左京区の百万遍交差点を通りかかったら、南東角の京都大学の擁壁の上の植え込みに、シャツが洗濯ものを干すがごとく吊られていた。学生たちが設置したタテカン(立て看板)が、擁壁への屋外広告物の設置を禁じた京都市条例に違反するとして市が大学側に通告、大学側がこれに従って既存の看板を撤去したことがことの始まりだった。これに対し学生たちが反発、看板の立て直しをしたが、大学側はこれを再び撤去した。その後も攻防が続き、イタチごっこになっているようだ。京大のタテカンは半世紀の歴史を持ち、学生街独特の景観、すなわち原風景なのだが、景観を理由に撤去とはまさに皮肉である。左の写真は2012年夏、五山送り火の日に通りかかったときの光景だ。反原発を訴えるタテカンの書体が
「ゲバ字」もどきで懐かしく思わずシャッターを切った。1960年代末から70年代初頭にかけてここで学園紛争を取材した光景が、走馬灯のようにぐるぐる回り、不覚にも涙腺がゆるんでしまったことが思い出される。京都市立芸術大のギャラリーでタテカンの展示会があったが、ガラスケースの中の野鳥、すなわち剥製化したと同様である。企画は理解するが、街頭にあってこそ看板である。この先の展開は不透明だが、再びタテカンが並ぶことを望みたい。京都の大学が昨今の右傾化に飲み込まれず、リベラルな学生運動、平和運動の砦であり続けて欲しいという気持ちでいっぱいだ。
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