2017年2月15日

稲田防衛相の代打答弁が裏目に出た安倍首相

Japan's New Defense Minister (Cagle.com, Aug 2016)

朝日新聞2月14日付け電子版によると、14日の衆院予算委員会で民進党の辻元清美氏が、稲田朋美防衛相にイスラム国(ISIL)をめぐるシリアの内戦は「戦闘か、衝突か」と質問した。これは2月8日の衆院予算委員会で、南スーダンPKOに派遣されている陸上自衛隊の日報に「戦闘があった」との記載があった問題で「国会答弁する場合、憲法9条上の問題になる言葉(戦闘)は使うべきでないから、武力衝突という言葉を使っている」と答弁したことに対するものであった。「戦闘」なら派遣部隊を撤退させなければならなくなるので「衝突」と言い換えたというのである。つまりこれは表現を変えれば、憲法を犯しても構わないというとんでもない理屈である。そこで分かり易い事例として、シリアの内戦はどうなのかと辻元氏は畳みかけたのだが、稲田氏は「法的評価をしていない」と繰り返すばかり。これに助け舟を出したのが安倍晋三首相で、代わりに答弁に立ち「ISILに対する軍事作戦の後方支援は政策的に考えていないと言っているので(戦闘か衝突かは)検討していない」と答弁した。日本は有志連合に名を連ねているし、シリア情勢に関し何らかの判断をしているはずである。明らかに「戦闘」であっても、先の南スーダンの「戦闘」に関する答弁の失態があるので、そうだとは答えられないのだろう。安倍政権に近い読売新聞が2月15日付け電子版で「首相は稲田氏を重用してきただけに、目の前でやり込められるのを黙って見ていることができなかったようだ」と書いている。見出しに「首相の助け舟裏目?」とあるが、?マークは必要ないだろう。例えばトランプ政権のジェームズ・マティス国防長官のような軍事の専門家でなく、素人である。極右発言で安倍首相の歓心を買ってきただけで、防衛大臣の器でないことが図らずも露呈してしまった。辻元氏は「首相が出てくると、世界中にこの防衛相は情けないと思われる」と皮肉った。イラストは昨年8月に稲田氏が防衛相に就任した時に、風刺漫画サイト Cagle.com に掲載されたものである。能ある鷹は爪を隠すという諺があるが、稲田防衛相は爪を露わにしたまま失態を重ねている。

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