2017年2月12日

トランプ大統領の狂気演技に騙された安倍首相

オレ様の言う通りに走ればいいのだヨ(ニューヨークタイムズ紙

朝日新聞2月11日付け電子版によると、ホワイトハウスでの日米首脳会談後の会見で、トランプ大統領が「米軍を受け入れてくださり感謝している」と述べたという。これはいささか突っ込みどころがありそうな発言である。というのは、選挙中、トランプ大統領は「米国はもはや裕福ではない、日韓が米軍の駐留経費負担を大幅に増額しない場合は米軍を撤退させる」と日本を批判していたからだ。ところが2月4日にジェームズ・マティス国防長官が来日、在日米軍駐留経費負担は適切であり「他の国のモデルになる」と述べた。駐留経費負担の負担増を怖れていた日本政府は、これでホッとしたのかもしれない。しかし、これこそトランプ大統領が仕掛けた罠だったのである。つまり過激な言動を意図的に繰り返し、交渉相手国に要求や条件を吞ませることに成功したのである。この交渉術はリチャード・ニクソン元大統領のマッドマン・セオリー(Madman theory)に酷似しているという。米軍駐留国の経費負担は日本約75%、韓国約40%、ドイツ30%、イタリア約40%で、日本の負担額がダントツである。本来、削減要求すべきなのに、一連の幻惑述によってそれができなくなったと言っても良いだろう。トランプ大統領は自動車をやり玉に対日貿易赤字を問題視し、日本が輸出を増やすために為替操作で円安に誘導していると批判してきた。恐れおののいた安倍首相は、大統領をなだめるため、今回の日米首脳会談前に、米国で4500億ドル(約51兆円)規模の市場と、70万人の雇用創出を目指す超巨大プロジェクトを矢継ぎ早にとりまとめた。51兆円と言えば、日本の GDP のほぼ10分の1、日本の防衛費の約10倍にあたる。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の積立金をあてる案も検討されているというから酷い話である。トランプ大統領は会談後、私費で安倍首相夫妻をフロリダ州の別荘に招待したが、勝ち取った金額と比べると、その費用は微々たるものである。パームビーチのゴルフ場で約5時間を共に過ごした後、トランプ大統領は「日本にはすばらしい代表者がいる」と持ち上げたという。そりゃ、そうだろう。何しろドイツのシュピーゲル誌が皮肉ったように「安倍晋三首相はトランプ氏に顔をしかめない数少ない首脳の一人」だからである。

0 件のコメント: