2017年1月29日

北米自由貿易協定(NAFTA)がメキシコのトウモロコシ文化を破壊した

遺伝子組み換えトウモロコシを監視しよう(出典

農山漁村文化協会刊
ロナルド・トランプ米国大統領の「暴言外交」が波紋を広げている。時事通信1月27日付け電子版によると、トランプ米国大統領が不法移民対策として「メキシコ国境の壁」建設の大統領令に署名したことへの反発から、今月31日に予定されていたの米メキシコ首脳会談が中止になった。トランプ政権は北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しを示唆しているが、メキシコのグアハルド経済相も「不利な立場に追い込まれるなら、NAFTA 離脱も辞さない」と警告したという。この協定に関しては『壊国の契約:NAFTA下メキシコの苦悩と抵抗』という興味深い書籍がある。カナダの女性文化人類学者、エリザベス・フィッティングが2011年に発表した研究書で、邦訳本が翌2012年に発行された。トウモロコシはメキシコが発祥の地とも言われ、主食であるが、2001年に地元品種に組換え遺伝子との交雑が発見され大問題となった。メキシコにおけるトウモロコシは、文化的アイデンティティと結びついて特別な意味をもった作物であるといわれている。トウモロコシをクレープ状にしたトルティーヤはメキシコ人の日常食だが、植民地時代は「進歩」を代表する小麦のパンに対してインディオの「後進性」を代表する食べ物とされていた。そうした蔑視の中で、農民は地域に合った多種多様な地元品種を育て、それを日常食に、また酒その他の儀礼食として守ってきた。しかし遺伝子組み換え種子は収量を上げる結構な技術ではないかという推進論が、メキシコでも多国籍企業や北部の大農園を中心にあがってしまった。米国からの輸入量が増え続け、価格下落で地元産トウモロコシは競争力を失ってしまった。今や都会で普通に流通しているのは米国産トウモロコシの粉や、レディメードのトルティーヤばかりだという。本来の風味やバランスのとれた栄養はなく、NAFTA は消費者の食生活も変化させてしまったのである。NAFTA が破棄されたらメキシコ経済がどうなるか私には予測できない。その足跡を俯瞰すると、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)が危険であることが直感できる。そのTPPが漂流、新たなな日米通商交渉が始まるようだが、その展開が危ぶまれる。安倍政権は唾棄すべきだし、野党は頼りない。国民による厳しい監視が必要である。

1 件のコメント:

  1. 商業写真は、デジタル化によって生産効率は高まり、また商業写真のテクニカルな面での品質水準も向上しましたが、感情に訴える内容とか、長期にわたって印象に残るコンテンツであるかという点では、後退した面も多いように思います。みんな、プロセス管理、締切、予算、業績評価などで雁字搦めになって、創造性やあそび心がなくなったのだと思います。食糧も、ライ麦などが栄養や繊維質の面で見直されたり、玄米や雑穀が見直されている時世に、また食糧コストよりも医療や金融サービスへのコストなどが大きい時代に、いまだに遺伝子組換えとか生産性云々で推し進め、食文化を破壊し、多様性を破壊しているのは、20世紀に逆戻りしようというか、社会の進歩の足をひっぱる動きのように感じます。このまま行けば、先進国の労働者は、鳥小屋のブロイラーのように、工業的に管理生産された食糧を食わされ、企業で働くだけの、アグレッシブで怒りっぽくて生き甲斐のない人になってしまいます。というか、もうそうなったのかも知れません。

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