2017年1月5日

花街の古写真を蒐集するオーストラリアの女性

Maiko wearing Black Crested Kimonos 1930s (Courtesy of Blue Ruin 1)

この記念写真は1930年代、京都の花街の「始業式」の日に撮影されたと思われる。小学校や中学校の始業式と同じで、花街によって日にちがずれるものの、おおむね1月7日に行われる。この日は今でも芸妓・舞妓たちも黒紋付の正式な場に着ていく着物姿で出席する。逆に言えば、伝統を遡る貴重な写真と言える。写真の持ち主はオーストラリアのアデレードに住む女性で、写真共有サイト Flickr で花街の舞妓、芸妓などの写真コレクションを公表している。同サイト上のハンドル名は Blue Ruin 1 だが、メールで問い合わせたところ、本名はヘレン・シセルトンさん。2007年から日本の絵はがきの蒐集を始め、すでに集めた絵はがきは、なんと5,000枚に達したという。eBay その他のオークションサイトで落札購入しているが、主に日本、アメリカ、ヨーロッパから出品されるそうである。この写真に対し彼女は「黒紋付を着て、新年のかんざしを挿しているが、稲穂が付いていない」と鋭い観察をしている。舞妓のかんざしには正月から12月まで毎月、季節感あふれる花をあしらうが、正月は縁起の良い松竹梅、鶴などのおめでたい題材が使われる。そして15日まで稲穂が添えられるのが習わしである。「今年も一年、稲穂のように頭をたれて謙虚に生きます」という意味が込められている。従って絵はがき用に、別の日に撮影した可能性もある。いずれにせよ、花街に関しては、ともすると京都人でも知らない風習があり、外国人でありながらその伝統文化に対する造詣の深さに感心する。

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