2017年1月20日

個人的嫌韓感情で少女像撤去を求める安倍首相の愚挙

金信「終わらない戦争」(韓国大田日報

朝日新聞1月20日付け電子版によると、釜山の日本総領事館前に少女像が設置された問題で、安倍晋三首相が岸田文雄外相と対応を協議、対抗措置として一時帰国中の長嶺安政駐韓大使らの帰任を当面見送ると確認したという。首相は少女像が余程目障りのようだが、このような反応は、像を設置した市民の運動が効果的であることの証明でもある。総領事館前の像は一旦撤去されたが、市民の猛烈な反対にあい、再び設置された。歩道を管轄する釜山市東区の朴三碩区庁長は「少女像の永久的な保存管理策が必要だ」と述べたそうである。日本政府の思惑に反し、韓国政府からの歩み寄りはない。竹島に少女像設置計画が浮上、新たな問題の火種が持ち上がった。釜山の像に対し韓国の尹炳世外相が「国際社会では外交公館前に施設物や造形物を設置することは国際関係の側面から望ましくないというのが一般的な立場」と発言したが、韓国国内では激しい反論を受けた。以下はそのは尹炳世外相が、2015年12月28日の日韓外相会談後の記者会見で発表した声明の一部である。
韓国政府は、日本政府が在韓国日本大使館前の少女像に対し、公館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても、可能な対応方向について関連団体との協議を行う等を通じて、適切に解決されるよう努力する。(外務省のHPより
すでに前エントリー「韓国政府は少女像撤去を約束したわけではない」でも触れたことだが、両国間で公式な文書を交わすことは行われず、あくまでも共同記者会見での声明に過ぎない。少女像に関して正式な合意を得たとは言い難いのである。この声明を逆手に、撤去しないのは約束違反だと主張するのは無理がある。それでも政府、特に安倍首相が居丈高に撤去要求するのは、まともな外交交渉と言い難い、個人の嫌韓感情の押し付けに過ぎない。隣国と友好関係を図ろうという気配りが微塵もなく、為政者として国民の意思を無視している。従軍慰安婦は戦争犯罪の一典型である。そのイメージを抽象化した少女像は、それゆえに目障りで、必死になって歴史の狭間から闇に葬り去ろうとしているようにも見える。しかしながらいかに日本の首相であれ、外国の市民運動を抑えようという発想自体が無理なのである。首相の苛立ちはしばらく続きそうだ。

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2015年12月28日の日韓外相会談岸田文雄外相と尹炳世韓国外相の記者会見声明文(韓国語PDFファイル)

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