2014年12月24日

平成新都名所針孔図会の試み

伏見稲荷大社(京都市伏見区深草藪之内町)
Harman TiTAN 4x5 Pinhole Kodak Portra160

都名所図会を読む
安政九年(1780)八月発行の『都名所図会(みやこめいしょずえ)』は京都の洛中洛外および近郊の名所を「図会」した本である。著者は秋里仁左衛門、号籬島(りとう)、絵は竹原信繁、号春斎が描いたもので、江戸時代を代表するイラストガイドブックといえるものだ。京都・河原町通のキクオ書店で購入した木版画を何枚か私は持っている。宗政五十緒編『都名所図会を読む』(東京堂出版)に詳しいので、興味あるかたは是非お読みになることをお勧めする。ところでずいぶん昔になるが、この本を参考に現代版写真案内を作ってみてはどうかと考えたことがある。しかし写真では竹原信繁の絵に到底及ばないし、第一京都の名所は撮り尽くされているので、新味を出すことは至難の技である。というわけで頓挫してしまった。しかし最近、八坂神社の楼門や伏見稲荷大社の鳥居、京都タワーをピンホールカメラで撮ったところ、これならいけるかもしれないと思い始めた。針孔写真特有の不鮮明さが、ふだん見慣れた風景とは異なった雰囲気を醸し出しているのではないかと。年の瀬になると「来年こそ」、年が明けると「今年こそ」という俗念が、人並みに脳裡を掠めないわけではない。しかしそんな気負いはサラリと捨てて、気儘に撮ってみようかなと思っている。はたして「平成新都名所針孔図会」としてまとまるだろうか。

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