2012年9月23日

坂本龍馬の船中八策に程遠い維新八策の危険性

坂本龍馬と中岡慎太郎の銅像  円山公園(京都市東山区円山町八坂鳥居前東入る) Fujifilm Finepix X100

大谷祖廟に参詣したあと、円山公園にある坂本龍馬と中岡慎太郎像の銅像に寄ってみた。何度か通り過ぎた記憶があるが、台座の銘文をちゃんと読んだことがなかった。改めて読んでみると、銅像は昭和37(1962)年に京都の高知県人会が建立したものだが「両先生の建軍の趣意は昭和軍閥にゆがめられ、銅像も戦時中に撤去の厄に遭った」とある。要するに今ある銅像は再建されたものなのである。銘文は「両先生は単なる軍国主義者ではなく、始めてわが国議会政治の確立を唱え、外交の重要性を力説して、海運貿易の発達に伴う内外経済の平衡と文明開化を熱望し、以て国勢の興隆に率先推進した大先覚者であった」と自由主義の先駆者であったと主張している。「八策」という言葉が刻まれている。これは「船中八策」のことで、明治天皇によって宣布せられた、五ケ条の御誓文の基底をなしたと銘文は強調している。八策に「海軍宜シク拡張スベキ事」と海軍力の増強を謳った一項があるが、この辺りへの誤解を解こうという配慮なのだろう。

さてこの条文でイヤでも思い出すのが、橋下徹大阪市長が率いる日本維新の会の「維新八策」である。坂本龍馬の八策は新国家体制の基本方針を示したものだが、維新の会の八策は同会入会への踏み絵の色合いが強いという。次の選挙を睨み、現職国会議員の一部がすり寄っているが、この八策をそのまま飲み込むことが合流の条件ということらしい。維新の会は「大阪」から「日本」と冠を改称、国政進出を決めたが、八策は党のマニュフェストではなく、あくまで「綱領」あるいは「目標」だという。要するに策定の次元が低いのである。これは民主党が選挙公約を実行せず、崩壊の道を歩んでる姿を見て、同様の批判を避けるための言い訳だろう。それはともかくやはり「憲法9条を変えるか否かの国民投票」という点が一番気になる。実現するため、憲法改正のための発議要件(96条)を3分の2から2分の1にという提案が盛りこめられているのである。坂本龍馬と橋下徹は比較するのもバカバカしい、雲泥の差とはこのことである。自民党総裁に改憲論者の安倍晋三が選ばれ、日本維新の会が議席を多数獲得したら、日本は再び危ない坂道を転がり落ちることになるだろう。

 日本維新の会「維新八策」最終案の全文

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