Fading Away (1858) by Henry Peach Robinson (English, 1830 - 1901)
Albumen silver print from glass negatives
The Royal Photographic Society Collection at the National Media Museum, Bradford, United Kingdom
Hearst Over the People by Barbara Morgan (1939) |
その典型は今回展示される、ヘンリー・ピーチ・ロビンソンの有名な「消えゆく」(1858年)という作品である。写真作品なら撮影されたと表記したいところだが、これはやはり制作されたというべきであろう。命が消えゆく少女を無表情で見守る人、そして背後に後ろ向きになった男が立っている。男の横にある花瓶の中の花が萎えているが、これは死を暗示したものだろう。実にドラマチックだが、合成写真ゆえにできたのだろう。このようなタイプの他に、写真を切り貼りするコラージュ作品がある。そのひとつがバーバラ・モーガンの「人々の上のハースト」(1939年)だろう。これは明らかに合成と分かる。今回の作品展の別称は「フォトショップ以前の合成写真」だが、ご存知、今日ではデジタル画像処理によって精巧かつ簡単に合成写真が作れるようになった。写真が持つ写実性から派生する「真実の記録」か、あるいは表現の「組み立て部品」に過ぎいないのか、合成を取り巻く議論は昔からあるが、その問題点がより膨張しているのが現代ではないだろうか。ぜひ日本にも巡回して欲しい写真展ではある。
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