2011年7月5日

電柱を視界から消し電線がない空を取り戻そう

切り通し(京都市東山区祇園町北側)

テレビの「世界遺産」番組でため息が出るのは、海外の古都の美しさである。電柱や電線が視界にないことが、その美しさの要因を大きく担っていると思う。写真は京都の花街、祇園の街並みだが、花見小路は電線の地中化が進み、すっきりとして美しい。一方、祇園白川に抜ける切り通しは風情がある街並みにも関わらず、空中はご覧の通りである。これを私は密かに「祇園の南北問題」と呼んでいる。京都の電線に関し何度か旧ブログで触れたが、これからも執拗に取り上げて行きたい。今回の東日本大震災で気になったのは、福島第一原発事故によって露見した電力会社の傲慢体質が、電線の地中化を遅らせているのではという懸念である。嫌が上にも彼らの体質を知ってしまったのである。地中化にはお金がかかる。その工事費は税金+電力・通信会社などの負担となる。どうやらそれに対して電力および通信事業者は出し渋っているのではという疑いを持っているのは、はたして私だけだろうか。

花見小路(京都市東山区祇園町南側)
日本の電力、通信事業はほぼ独占企業に寄って賄われている、といっても過言ではないだろう。取りはぐれのない料金が彼ら、特に電力会社の懐に入っているにも関わらず、地中化には消極的に見えてしょうがない。電力会社は総経費の3.5%が適正報酬と決められているため、電気料金=経費+経費×0.035と設定されているそうだ。だから大きな金が動く原発産業は電力会社にとってみれば良き経費バラ撒き場になっている。その無駄遣いを景観改善に回して欲しい。誰が見ても醜い空中の蜘蛛の巣は放置したままである。さて地中化のメリットだが、私の主眼は無論景観の改善にある。京都の場合、社寺や一部歴史的な景観地区の地中化が顕著であることは確かである。しかし街全体、都市全体が美しくあってこそ、国際的な古都といえるのではないだろうか。その点で、京都市内のあちこちが絶望的な景観になっていることを強調したい。景観の他にも重要なことがある。地中化された電線は架空線に比べて強いということである。また災害時には電柱が様々な活動の支障になることがあるという指摘がある。これは阪神大震災の調査で判明されたことだが、今回の東日本大震災でもどのようであったか調査が待たれる。その他にも地中化のメリットを列挙できるが、この辺りで留めておこう。取り敢えず国際観光都市京都の名に恥じない街づくりの観点から、電柱を1本でも多く視界から消し、電線がない空を取り戻して欲しいと願っている。

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