2025年3月29日

ソーシャルメディアの弊害(21)山火事を巡る X の陰謀論に翻弄される

Kyoto Photo Press

イーロン・マスクの横暴に愛想が尽きて X のアカウントを放棄した。ところがしばしば X 上の論議がネットニュースに流れる。例えば最近では、NHK 電子版に「今治や岡山の山林火災 SNS で根拠ない情報拡散 注意を」という記事が掲載された。すなわち《3月23日に愛媛県今治市や岡山市で起きた山林火災について、SNS の X には直後から根拠のない情報が投稿され、広がっています。具体的には「レーザー兵器で焼き払っているとしか思えない」とか「意図的な人災ではないか」などとする投稿が確認されました。こうした投稿は複数あり、少なくともあわせて1,500万回以上、見られています》という。ところがテレビ朝日電子版も《今治市と岡山市の山火事について出火原因は分かっていませんが、SNS 上では「レーザー兵器システムによるもの」などとする根拠のない情報が広がっています。今治市と岡山市の山火事について、X などの SNS には被害を心配する声が数多く投稿されています。一方で、火事の原因について「レーザー兵器システムによるもの」「スマートシティ計画にのっとった意図的な人災」などと断定する情報が複数投稿されています》と報じている。このようなニュースに接すると、どのような書き込みか気になる。そこでアカウントを復活させた。

興味深いのは例えば上記のように「陰謀論」に辟易しているユーザーがいることである。山火事に関しては別におかしくもなんともない。日本では毎年1,300件山火事が起きていて、その半数以上が1~4月に起きている。平成の初め頃は毎年4,000件以上起きていた。おかしいのはこの陰謀論者の頭のほうである。空気が乾燥する今の季節はもともと火災が起こりやすく、日本では毎年山火事が発生している。また、大船渡市の被害があまりに甚大だったため、マスコミが積極的に山火事を報道するようになった結果、例年よりも発生件数が極端に多いように「錯覚」してしまっただけという指摘もソーシャルメディアで散見される「ビーム兵器山火事陰謀論」(跡地にスマートシティを建設するため、衛星ビーム兵器で山を焼き払っているとする説)などは当然、荒唐無稽なトンデモ説として却下されることになるわけだ。大事なのは「出火原因は野焼きではなく放火かもしれない」という疑いと「ビーム兵器なんてトンデモ陰謀論だ」という2つの主張は完全に両立するという点である。一連の山火事に対して「何かがおかしい」「放火ではないか」と人々が感じるのはごく普通のことではないだろうか。

University Red 陰謀論の蔓延と「信頼」に基づくソーシャルメディアの規制 | 京都大学大学院文学研究科・三上航志

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