チューナーの入力端子がついたプリメインアンプがある。未だに FM チューナーの製造販売しているメーカーがあるからだろう。パソコンのデジタル音質にすっかり飽きてしまい FM 放送を聴いている人が結構いるらしいのだ。オーディオブーム時代に FM チューナーを購入、エアチェックしてカセットテープに録音したのが懐かしい。ところで2018年の台風21号による停電の教訓から、携帯ラジオが必要と痛感した。条件は「ワイド FM」放送も聴けることだった。余りに耳にしない用語で、私も最近知ったのだが、正式には「FM 補完放送」という名称がついている。ネット百科事典ウィキペディアによると FM 補完中継局は「中波放送を行う基幹放送局の放送区域において、災害対策等のため、補完的に超短波放送用周波数を用いて放送を行う中継局」と定義されているそうだ。つまり FM 電波で、AM 放送が聴ける放送のことである。ワイド FM ならビルやマンション、山間部でも雑音が少ないクリアな音で聴ける。ただし山の影では電波が回り込みにくいので受信できない。私が住む京都では、比叡山の中腹に KBS 京都が送信機器を設置、2018年から放送を開始している。
このワイド FM を受信するには、従来の FM 放送用の周波数(76.1MHz~89.9MHz)に加え、新たに FM 放送用として使用可能とした周波数(90.1MHz~94.9MHz)に対応したラジオが必要である。そこで選んだのが砂埃や雨を気にせず屋外で使える、オーム電機の AudioComm「豊作ラジオ」 PLUS|RAD-H390N 03-5632 だった。丸みを帯びた濃緑色の筐体デザインが気に入った。名称は田圃や畑での農作業中でも使えることに由来するらしい。完全防水ではないが、IPX4 防飛沫仕様なので、水しぶきに強く、災害時にも役立ちそうだ。受信可能な周波数は AM 530KHz~1605kHz / FM 76MHz~99MHz で、ワイド FM に十二分に対応している。水滴の侵入を防ぐためか、イヤフォンの出力端子がない。従って避難所で使えないのが残念である。搭載スピーカーは口径100mmで重低音は流石に無理だが、音質はそれなりにバランスがとれている。オートチューニングではないので選局し辛いのが難点である。電源が大容量の単1形乾電池4個で、持続時間は AM 受信時は約290時間、FM 受信時は約216時間となっている。一週間鳴らしっぱなしでも電池交換しなくても良いというのは災害時の情報源として優れた値である。災害時の情報取集、野良仕事のアシストなど、野外でラジオを利用する手軽なツールである。風呂場に持ち込んでいる猛者もいるらしい。ごく最近、地元の α-Station(エフエム京都)の放送をこのラジオで聴くようになった。遥か大昔の受験生に戻った気分、懐かしくも、楽しいひと時になっている。
ワイド FM に対応した全国民間放送局(FM 局/FM 補完中継局)一覧とその周波数(総務省)
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