2022年9月16日

カラー写真を芸術として追及したジョエル・マイヤーウィッツの手腕

Camel Coats, New York City, 1975
Camel Coats, New York City, 1975
Joel Meyerowitz (2018)

ジョエル・マイヤーウィッツは1938年3月6日、ニューヨークに生まれた。風景、ストリート、ポートレート写真家として数々の賞を受賞し、その作品は世界中のギャラリーや美術館で 340 以上の展覧会に出展されている。1962年に写真を始め、芸術写真の世界ではまだモノクロ写真が主流を占めていた時代に、カラー写真に取り組んだ。1970年代にはニューヨークのクーパー・ユニオンでカラー写真の講義を行い、多くの写真家が彼のもとで学んだ。クラシックなカラー写真を集めた初の写真集 "Cape Light"(光岬)は30年間で10万部以上売れた。このほか "Aperture, Legacy"(絞りの遺産)を含む17冊の著書がある。"The Preservation of Wilderness in New York City Parks"(ニューヨークの公園における原生林の保護)1983年 "A Summer's Day"(ある夏の日)1985年 "Creating a Sense of Place"(場所の感覚を創造する)1990年 "Redheads"(赤毛の人々)1991年そして "A History of Street Photography"(ストリート写真の歴史)1994年 "At the Water's Edge"(水辺にて)1996年 "Tuscany: Inside the Light"(トスカーナ:光の中)2003年 などである。

Roseville Cottages
Roseville Cottages, Cape Cod, 1976

1998年に初制作した映画 "POP"でプロデューサー兼監督を務めた。これは、彼が息子と父親と3週間にわたって行ったドライブ旅行の日記であった。映画は、老化の側面と、記憶の重要性に対する瞑想の効果に焦点を当てたものであった。2001年9月11日の世界貿易センタービルへのテロ攻撃は、多くの説と論争をもたらした。マイヤーウィッツは、すぐ近くの地域とグラウンドゼロの荒廃と復興に基づいたアーカイブのための資料収集を開始した。このアーカイブには8,000枚以上の写真があり、ニューヨーク市博物館がスポンサーとなった。米国国務省がローマ、ロンドン、パリ、クウェート、イスタンブル、モスクワ、イスラマバード、エルサレムなど200以上の都市で世界35ヶ所の展覧会を開催した。

Anawanda Lake
Anawanda Lake, New York, 1970

この作品とは別に、117点のモダンとヴィンテージのプリントからなる巡回展 "Out of the Ordinary"(常識を覆す)1970~1980年をプロデュースした。この展覧会はパリのジュ・ド・ポームで初公開された。そしてこの作品は、ロッテルダムのオランダ写真美術館、ベルギーのシャルルロワにあるテッサロニキ写真美術館、オーストリアのザルツブルクにある近代美術館でも展示されている。ニューヨークの29,000エーカーに広がる公園を、記録とアーカイブ化で網羅するという壮大なプロジェクトを完成させた。1930年代以来、初めての大規模なビジュアルアーカイブである。ニューヨークの公園・レクリエーション局のエイドリアン・ベネペ(1957年生まれ)は、マイヤーウィッツを招き、5つの地区のすべてのコミュニティで作品を共有したのである。

WTC
World Trade Centre collapse, New York, 2001

ロバート・フランク(1924–2019)の作品に強い影響を受けたマイヤーウィッツは、広告代理店を辞め、モノクロフィルムと35ミリカメラでニューヨークの街を再発見する旅に出る。フランクだけでなく、フランスのウジェーヌ・アジェ(1857–1927)やアンリ・カルティエ=ブレッソン(1908–2004)からも影響を受けている。ジョエル・マイヤーウィッツの写真は、畏敬の念を抱かせるだけでなく、時に目覚めの呼び水となり、世界貿易センタービル崩壊のシリーズでは、彼の写真が、アメリカに住む人々を震撼させた出来事について世界中に認識を広める触媒の役割を果たしたのである。彼の写真の多くは、建物や構造物、人物を、中心から離れた視点と中心から離れた視点を用いて表現している。

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