積極的にテレビを見る習慣がない。しかし居間の食卓に付くと、妻がつけっぱなししているテレビが視界に入ってしまう。そしてコマーシャルが流れてくると、勝手に NHK に切り替えることが多い。NHK の内容が良いという訳ではない、余りにも粗雑なコマーシャルが多いからだ。ところがBS日テレで毎週土曜日午後6時から放送の「小さな村の物語イタリア」だけは例外である。2007年から続いている長寿の紀行ドキュメントタリ―番組だが、小さな村に素朴に生きる人々をテーマにしている。メインスタッフは日本人だが、イタリア人によるカメラワークが素晴らしい。スポンサーは大和ハウス工業と東芝メモリ株式会社(キオクシア)である。いずれのコマーシャルも好感が持てる。特に大和ハウス工業の「かぞくの群像 #1 矛盾」は秀逸である。
ある大学の哲学科の授業中。そこに、大学にはいないはずの小学生がいる。授業をしている教授は、小学生の父親。父の様子を見に来た息子は精一杯背伸びをして、その場になじもうとしている。家では見たことのない父の姿を見て、息子の気持ちがすこし成長する。それをうれしく思う父。そんなとある家族の一日です。
小学生が大学の授業を受けるというのは、いささか飛躍に過ぎる設定かもしれないが、脚本の力だろう、何度見てもひきずり込まれてしまう。少年は亡き母親のことを「どんな人でしたか」と父親に尋ねる。「厳しくて、やさしい人でした」「矛盾してますね」「人はみんな、矛盾しているものです」「ともみさんも矛盾していますか」「矛盾だらけです」「そんな人が先生でいいんですか?」「その方が、みんなほっとするんじゃないでしょうか」「じゃあ、ぼくも、先生になれるかもしれないですね」「ほら、小さな希望がうまれましたよ、後、負けず嫌いな人でした」「そうですか、ぼくには似てませんね、また行ってもいいですか?」「退屈だったでしょう」「少し難しかったです」「少し・・・ですか?」「少しです」「似てきましたよ」。監督の大森歩は、家族の名前を「さん」づけで呼ぶのは、学生時代に尊敬していた先生がモデルですとツイートしている。
かぞくの群像 「#1 矛盾」「#2 萌芽」「#3 秘密」大和ハウス WEB ムービー特設サイト
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