2022年5月17日

ウクライナの独立系メディア「キーウ・インディペンデント」の若き設立者たち

Kyiv Independent
"Minus one village" said one of the soldiers

ウクライナの独立系英語メディア「キーウ・インディペンデント」が、ソーシャルメディア Facebook にポストした記事紹介の文章が、心に突き刺さるものがあったので拙訳を試みた。兵士の「村がひとつ消えた」という言葉が余りにも重い。美しい国土が焦土化し、何の罪のない人たちが殺されている。以下に原文。

In a rare moment of silence, one could hear the hum of thousands of flies and mosquitoes hovering among the trees. This was swiftly interrupted by violent detonations in the distance. "Minus one village" said one of the soldiers.

ソ連時代、モスクワの影に隠れていたキーウの国際政治は、ウクライナの独立によって再び世界政治の舞台となった。1991年12月1日、ウクライナの独立は圧倒的な支持を得たが、モスクワの軌道から逃れることはできなかった。キ―ウはウクライナの親ヨーロッパの西側とロシアびいきの東側の間のイデオロギー的な戦いの中心になった。2004年11月の大統領選挙では、ロシアが支援するヴィクトール・ヤヌコヴィッチ候補が親欧米派のヴィクトール・ユシチェンコ候補を破り、数万人が不正や投票用紙の詰め込みに抗議して首都の通りに繰り出した。選挙期間中、毒殺未遂事件から辛うじて生還したユシチェンコは、支持者を集め「オレンジ革命」と呼ばれる運動を展開した。ウクライナ最高裁は選挙結果を覆し、その後の再選挙ではユシチェンコが勝利した。2013年から14年にかけて、ユシチェンコの後任として大統領に就任したヤヌコビッチが、予定していた欧州連合との連合協定を土壇場で撤回すると、キ―ウに再び抗議行動の波が押し寄せた。

Russia's combat losses
The indicative estimates of Russia's combat losses as of May 17

親欧州連合派のデモ隊はマイダン・ネザレジノスチ(独立広場)にキャンプを張り、市庁舎を占拠した。 2014年2月、警察と治安部隊がデモ隊の群衆に発砲し、数人が死亡した。キーウのダウンタウンは戦場となり、マイダンの周囲の建物はガソリン爆弾で焦土と化した。同盟国から見放され、弾劾の危機にさらされたヤヌコビッチはロシアに逃げ、デモ隊はユーロメイダン運動と呼ばれ、親欧米政権を誕生させた。ヤヌコビッチ政権が倒されたことで、ロシアのプーチン大統領はキーウでの主戦場を奪われ、プーチンはすぐにウクライナ暫定政権を不安定にしようと動き出した。ウクライナのクリミア自治共和国への侵攻と併合は、ウクライナに対するロシアの大規模なハイブリッド戦争作戦の始まりとなった。ロシアが支援する分離主義者の蜂起がウクライナ東部で工作され、キーウは度重なるサイバー戦争攻撃にさらされた。2015年と2016年には、ロシア情報機関の手先と見られるハッカーがキーウの電力網を破壊し、街の一部を数時間にわたって暗闇に陥れた。

cofounders

ウクライナの世界的な声であるキーウ・ポストは、途絶えることなく続いてきた26年目を迎えた数日後の2021年11月8日に沈黙を破った。編集の独立性を守ったためにキーウ・ポストを解雇された編集チームは、沈黙を守ることを拒否した。キーウ・ポストというブランドを守ることができなくても、その価値を守ることはできるはずと。 2021年11月11日、30人以上の元キーウ・ポスト社員が、新しい英語メディア「キーウ・インディペンデント」を立ち上げ、キーウ・ポストの遺産を継承することにしたのである。2022年2月、プーチン大統領はウクライナに対する「特別軍事作戦」の開始を発表し、巡航ミサイルによる攻撃がウクライナ領土への全面的な侵攻に先立ち行われた。しかし、ウクライナ軍はロシアの進攻を複数の地点で牽制し、数千人の市民が首都を守るために武器を手にした。そしてキーウ・インディペンデントはウクライナ危機を英語で発信する貴重なメディアになったのである。またロシア軍の戦力損失のインフォグラフィックを Twitter や Facebook などのソーシャルメディアで配信している。また経済雑誌 Forbes が「フォーブスが選ぶ30歳未満の30人」に、オレクシイ・ソローキンなどのキーウ・インディペンデントの共同設立者を選んだ。設立してから半年足らずで、このウクライナ人ジャーナリストたちは、母国での戦争を報道しながら、勇気、粘り強さ、感受性、影響力を示してきた。ウクライナの報道の自由を強化することに貢献している、と同誌は讃えている。

Forbes At The Kyiv Independent, Reporting On Russia's Invasion Of Ukraine Hits Close To Home

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