ドナルド・トランプ前大統領は、選挙結果に対する根拠のない陰謀論を振り撒き、1月6日の連邦議会議事堂で暴動を煽った結果、Twitter、Facebook、YouTube などのソーシャルメディアから追放された。いわば拡声器を失ったため、その動静がなかなか伝わって来なかった。5月上旬、Facebook の監視委員会は Facebook と Instagram の禁止措置を支持すると発表したが、同サイトには6カ月以内に決定を見直すよう求めた。同じころ Twitter は、トランプのチームが彼のブログやウェブページに関連して作成したアカウント "@DJTDesk" を停止した。この新しいアカウントを「停止されたアカウントに関連するコンテンツを置き換えたり、宣伝したりすることが明らかな意図である」と突き放した。そこでトランプは "From the Desk of Donald J. Trump" というブログを立ち上げたのである。ワシントンポスト紙によると、トランプのブログは初日に159,000件のソーシャル・メディア・インタラクションを獲得した。同紙がオンライン分析会社のデータを調査した結果によると、翌日には30,000件にまで減少し、それ以降は1日15,000件を超えていないという。つまり「オンラインでの無用の長物化」と呼ぶ兆候となっているというのだ。
昨年までは Facebook ページが毎週数千万件のコメントやシェア、リアクションを受けていたことと比べると、大きな変化だといえる。トランプに関するインターネット上での反応はほとんど見られず、ホワイトハウスの叱咤激励の場も、従来のソーシャルメディアへのアクセスもない状態で、この5年間で最低となっているそうだ。ブログは Twitter の文字数に制約されたタイトなツイートに比べて、はるかに長文になる傾向がある。しかも応援や批判をするには、ハートマークをクリックするか、Twitter や Facebook にシェアする以外に方法がないインターフェースになっている。このような一方通行の会話は、ソーシャルメディアに慣れ親しんだ人たちにとっては歯痒いかもしれない。右翼のオンライン組織を研究しているノース・カロライナ州エロン大学のメーガン・スクワイア情報工学教授は「彼は風の中で口笛を吹いている」とポスト紙に語っている。曰く「人々は彼の小さな机上のプラットフォームにはついてこないし、そのことは数字を見ればわかる。彼にはもう、以前のように自分のコンテンツを人々の目の前に常に置いておくような能力はありません」云々。
Trump is sliding toward online irrelevance. His new blog isn't helping | Washington Post