マンドリン・バンジョーは、マンドリンやバイオリンのネックとバンジョーのボディを組み合わせたハイブリッド楽器である 英語圏では banjolin(バンジョリン)banjourine(バンジュリン)と呼ばれ、フランスでは banjoline(バンジョリン)bandoline(バンドリン)、トルコでは Cümbüş(キュンビュッシュ)と呼ばれている。ヴァイオリンとマンドリンと同じように低い絃から GDAE とチューニングされる。どうやら誰でも思いつく楽器らしく、複数の国で独自に考案されているが、 マンドリン・バンジョーの最初の特許は、1882年にブルックリンのベンジャミン・ブラッドベリによって取得された。
ベンジャミン・ブラッドベリが特許を取得したマンドリン・バンジョー |
1921年の著書 "Methode pour Banjoline ou Mandoline-Banjo 3rd Edition"(バンジョリンまたはマンドリン・バンジョーのためのメソッド 第3版) の中で、サルバドール・レオナルディ(1872-1938)は米国とフランスの間の命名規則が異なる楽器に、似たような名前を適用していたと述べている。フランスと英国では、バンジョリンは背面が開いた楽器であり、マンドリン・バンジョーは背をの閉じた楽器であった。レオナルディはイタリアにカターニア出身で、マンドリンのヴィルトゥオーゾ、教師、作曲家である。エジプト、マルタ、ロンドン、パリで20年以上教え、演奏家としてもツアーを行った。レオナルディは叔父からマンドリンとギターを習っていたが、ナポリの音楽院でヴァイオリンを学び、プロの音楽家になった。ソロ・マンドリン奏者としてフィレンツェやローマの国際音楽コンクールで受賞した。上述の著書はマンドリンを教えるテキストの中では珍しく、英語、フランス語、スペイン語の3カ国語で記述されていた。第3版(1921年)の序文で、マンドリンの人気が以前に比べて低下していたと述べている。その代わりにマンドリン・バンジョ―急上昇したというのだ。彼はこの本のために古い素材を再利用しただけでなく『マルタの土産』『カミナンド』『ローマの土産』『シチリア島の思い出』などの自作曲を収録している。
"Méthode pour Banjoline ou Mandoline-Banjo" by Salvator Léonardi (PDF file 20.0MB)