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煙草と珈琲を嗜む女性(1890) |
カリフォルニア州のゲティ研究所が最近、フランス人の蒐集家ピエール・ド・ジゴールがトルコを旅行中に蒐集した、19世紀および20世紀初頭のオスマン帝国時代の写真、6,000枚以上をデジタル化した。現在、研究および教育目的なら無料でダウンロードできる。コレクションはオスマン帝国時代のさまざまな写真を網羅しており、ランドマーク建築、都市や自然の景観、数千年前の文明の遺跡、そして衰退していくオスマン帝国の最後の数十年間に生きた、多様な人々の賑やかな生活を描いてる。若い二人の女性の写真に目が留まったが、私は思わずトプカプ宮殿を連想した。しかし後宮(ハレム)の女性と断定することはできない。煙草に珈琲はつきものだが、トルコの諺である「煙草なしの珈琲はカバーがないマットレス」を思い出した。写真をこの諺を脚本に仕立てた演出写真の可能性がある。日本でも明治大正時代に芸妓をモデルにした絵葉書が作られたが、同じ類なのかもしれないのである。私は数度にわたってトルコ、主として古都イスタンブルを訪れたことがあるが、モスクに代表される建築群に圧倒された。木造住宅に囲まれたアヤソフィア聖堂などの写真を見ると、旅の思い出と共に、栄枯盛衰、オスマン帝国の無常が脳裡を駆け巡る。デジタルファイルにはゲティ研究所の検索サイトからアクセス可能である。大量の写真が蒐集され、残されてることに驚愕するが、これをダウンロードして利用できることは、素晴らしいの一言に尽きる。
Pierre de Gigord Collection of Photographs of the Ottoman Empire and the Republic of Turkey
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