2017年9月4日

玩具のピストルを頭に突き付けた少年の涙

Young boy holds a toy pistol to his head, Alto Churumazu, Peru. ©2004 Steve McCurry

アフガンの少女
この写真はスティーブ・マッカリーが、2004年にペルーのチュルマスで撮影した「玩具のピストルを頭に突き付ける少年」である。マッカリーは1985年にナショナル・ジオグラフィック誌の表紙に掲載された「アフガンの少女」(左)で有名になったアメリカのフォトジャーナリストである。少年期に刀やピストルなどの武器の玩具で遊ぶことは珍しくない。この写真を見たとき、玩具のピストルと分かり、当初はそれで遊んでるのかと思ったが、流れる涙に違和感を覚えた。初出媒体は不明だが、何らかの説明がついていた筈なのに、その内容を知ることができなかった。ところが最近、断片的にその事情を得ることができた。2012年、地中海に浮かぶマルタ共和国の首都ヴァレッタでマッカリーの個展が開催された。同国写真界の重鎮であるケビン・カシャ「忘れ難きイベント」と題し、その思い出をブログに綴っている。それによるとマッカリーは「ペルーの山岳地帯の村の道端で少年が泣いているのを見た。彼が遊んでいた場所で何人かの他の子どもたちがいじめたのである。彼は玩具の銃を手にしていた。何か手助けできないかと近づいてみたが、少年はかなり気が動転していたらしく、私の問いかけに答えることができなかったようで、そのまま家に向かって立ち去ってしまった」と語ったという。少年はいじめにあい、仲間外れにされていたのである。このような小さな子どもは、楽しい子ども時代を過ごす権利がある。ところがいじめから受ける痛みを和らげる唯一の解決策として、人生を終わらせることを選択しようとする子どもがいる。涙が「ぼくは死にたいんだ」と叫んでいる。

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