2016年8月1日

東京都民はトンデモナイ女性を知事にしてしまった

あの閃光が忘れえようか

小池百合子氏はPHP研究所の月刊誌『VOICE』2003年3月号での鼎談を、自らのウェブサイトで「日本有事3つのシナリオ」と題して掲載している。曰く「軍事上、外交上の判断において、核武装の選択肢は十分ありうるのですが、それを明言した国会議員は、西村真吾氏だけです。わずかでも核武装のニュアンスが漂うような発言をしただけで、安部晋三官房副長官も言論封殺に遭ってしまった」云々。東京都民はトンデモナイ女性を知事にしてしまった。1945年8月6日、広島に原爆が投下され、罪なき人々が殺されたことをお忘れか。
八月六日

あの閃光が忘れえようか
瞬時に街頭の三万は消え
圧おしつぶされた暗闇の底で
五万の悲鳴は絶え

渦巻くきいろい煙がうすれると
ビルディングは裂さけ、橋は崩くずれ
満員電車はそのまま焦こげ
涯しない瓦礫がれきと燃えさしの堆積たいせきであった広島
やがてボロ切れのような皮膚を垂れた
両手を胸に
くずれた脳漿のうしょうを踏み
焼け焦こげた布を腰にまとって
泣きながら群れ歩いた裸体の行列

石地蔵のように散乱した練兵場の屍体
つながれた筏いかだへ這はいより折り重った河岸の群も
灼やけつく日ざしの下でしだいに屍体とかわり
夕空をつく火光かこうの中に
下敷きのまま生きていた母や弟の町のあたりも
焼けうつり

兵器廠へいきしょうの床の糞尿ふんにょうのうえに
のがれ横たわった女学生らの
太鼓腹の、片眼つぶれの、半身あかむけの、丸坊主の
誰がたれとも分らぬ一群の上に朝日がさせば
すでに動くものもなく
異臭いしゅうのよどんだなかで
金かなダライにとぶ蠅の羽音だけ

三十万の全市をしめた
あの静寂が忘れえようか
そのしずけさの中で
帰らなかった妻や子のしろい眼窩がんかが
俺たちの心魂をたち割って
込めたねがいを
忘れえようか!
峠三吉『原爆詩集』を7月15日、岩波書店が文庫化した。アーサー・ビナード氏は同書の巻末で「日本語で書かれた『戦後文学』の中から、もし最優秀詩集を一冊のみ選出するとなったら、ぼくは『原爆詩集』をノミネートしたいと思う」と書いている。アメリカ人が日本人を諭しているのである。ぜひ手に取って欲しい。

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