積出前の奴隷収容に使われていた牢(セネガルのゴレ島)
朝日新聞2月17日付け電子版によると、自民党の丸山和也参院議員が17日の参院憲法審査会で「アメリカは黒人が大統領になっている。これ、奴隷ですよ。建国当初、黒人、奴隷が大統領になるなんて考えもしない。ダイナミックな変革をしていく国だ」と述べたという。さらに記事には「オバマ米大統領は、アフリカ系(黒人)初の大統領だが、ケニアから米国に留学した黒人の父と白人の母との間に生まれており、奴隷の子孫ではない」と付け加えている。この記事で気になるのは、仮にもしオバマ米大統領が奴隷の子孫だったら、丸山氏の発言は許容できるかという点である。私はそうは思わない。アフリカ系アメリカ人への蔑視であることには変わりはないからだ。彼らの祖先は元からいえば奴隷でもなんでもない人たちだったわけで、好き好んで奴隷になったわけではない。アフリカ大陸から強制的に連れ去られてきたわけで、その後、子孫たちが差別されたのは歴史の理不尽である。翌日、民主党など野党3党が、議員辞職勧告決議案を参議院に提出したが、丸山氏は「人種差別に対しては批判的な立場だ」と強弁、議員辞職する気配はないようだ。アフリカ系アメリカ人が大統領になるなんて考えられなかった、と指摘すること自体が人種差別であることにどうやら気づいてないようだ。一連の報道に接しながら、私はかつて奴隷貿易の拠点であったセネガルのゴレ島を訪問したことを思い出した。西アフリカは例えばマリ帝国はヨーロッパを凌駕する豊かな「黒アフリカ文化を」を持っていたことも。アフリカおよびアフリカの人々を蔑む気持ちが、アフリカ系アメリカ人への差別を生んでいるのである。
0 件のコメント:
コメントを投稿