2016年2月18日

北風に吹かれて平等院詣り

平等院鳳凰堂(宇治市宇治蓮華)

赤い箱は手製のピンホールカメラである。使用フィルムは8x10インチ(約203x254mm)で、ラージフォーマットカメラに属する。この暗箱を背に昨日、北風が吹く寒空の下、宇治の平等院に出かけた。前回の参詣は2008年だったから8年ぶりである。2003年から行われていた、本尊阿弥陀如来坐像と天蓋のいわゆる「平成大修理」が前年の秋に終わったので、鳳凰堂の中に入るのが目的だった。今回はその鳳凰堂の2年に及ぶ修理が2014年春に終わったにも関わらず、未だ拝観してなかったので、冬なら参詣客も少ないだろうということでの再訪だった。今回の修理は瓦をふき替え、建物の色を塗り直すことだった。ご覧のように私の暗箱の色と比べると分かるように、地味で、朱色ではなく褐色がかった暗みのある赤の「丹土(につち)色」である。丹土色は酸化鉄の粉末と黄土を混ぜて作るが、明治時代の修理(1902~07年)で使われた。京町家の格子に見られる紅殻(べんがら)色である。ところが昭和の修理(1950~57年)で赤みが鮮やかな「鉛丹(えんたん)」に変更されたため、元に戻されたそうである。ウェブサイトの解説によると、平等院は1052年(永承7)に時の関白藤原頼通が、父道長より譲り受けた別業(別荘)を仏教寺院としたもので、翌年、本堂、鳳凰堂を造立したという。それは極楽往生を願う浄土思想の具現化だったのだろう。西方浄土を極彩色の世界とイメージする私は、それゆえにもっと派手な色に塗り替えたのではと想像していた。その点の予想は外れたが、よく考えてみると、地球上に一番多く存在する赤土は酸化鉄であり、人類にとって最も身近な顔料なのである。丹土色はいわば悠久の大地の色であり、日本の暮らしを彩る色と説明されると納得できるような気がする。

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