2011年5月10日

同時代的絵画主義写真という言葉が次第に色褪せてきた

神苑 平野神社(京都市北区平野宮本町) Nikon D80 + Zoneplate

芸術史、とりわけ絵画史、写真史に精通しているわけではないが、絵画における印象主義と写真における絵画主義(ピクトリアリズム)は時代的に重なることは容易に理解できる。つまり両者は19世紀末から20世紀初頭にかけて発生したもので、類似点が多い。絵画においては写実主義から抽象主義の一過程であったが、いわば写真はそれを追従したと言えるだろう。しかし絵画と写真は、表現手段として根本的に違う。絵画は抽象に流れたが、写真は再び本来の機能と連動した写実主義に戻り、ストレート写真が復権したといえる。

Fujifilm Finepix X100

オルラヤ・ホワイトレース 京都府立植物園(京都市左京区下鴨半木町) Nikon D80 + Zoneplate

これまで何度か書いてきたように、私がいま手がけているゾーンプレート写真は、不鮮明である。その不鮮明さが果たして同時代的絵画主義写真と言えるか、という点も過去に触れた。さて実際に撮った作例を再び提示することにした。果たして、どうだろう? 私はこの2作を見比べて、新たなる発見をした思いに浸っている。それは善し悪しではない、写真が持つ多様性に今さらながら気付いたということである。選別するのではなく、その多様性を大事にする。すると同時代的絵画主義写真という言葉が次第に色褪せてきたのを実感するのである。ところでサンプル用に撮影した園芸種の花、オルラヤ・ホワイトレースの英名は White Lace Flower、学名は Orlaya grandiflola だそうである。小さく可憐な花だ。

2 件のコメント:

  1. モナミメイト2011年5月11日 1:25

    ふと思うに、機材マニアからは忌み嫌われるハレーションも、写真そのものにおいては、昔から白が滲んだ状態は、眩しい、幻想的などと美しいという感覚で捉えることが多かったと考えます。三枚目の写真を拝見するに、緑の葉はその存在を奥ゆかしく、白く滲んだ花弁は光りを受け生き生きとした空間にあるようにも感じます。
    ピンホール写真が独特の柔らかさから、美しく感じられるように、写真として見る側の創造力をかき立てることは事実のようです。

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  2. このゾーンプレートやピンホールもそうですが、所謂ソフトフォーカスレンズもハイライトが滲んだ写真を撮ることができます。どこか印象派の絵に似通った写真になるのが昔から繰り返し流行った理由だと思います。私は使ったことがないのですが、ヴェスト・ポケット・コダックというカメラがあります。単玉レンズが付いてるので「ベス単」と呼ぶのですが、ベス単フード外しといって、わざわざレンズの性能を悪くしてソフトフォーカス効果を狙うのが一世風靡したこともあったようです。このレンズ構成を模したのがキヨハラ高額のソフトフォーカスレンズで、私も持っています。

    ヴェスト・ポケット・コダック - Wikipedia http://bit.ly/lmvJpl

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