2025年8月27日

石破茂首相はなぜ自民党内で嫌われるのか

Prime Minister Shigeru Ishiba
渦中の石破茂首相 ©2025 京都フォト通信

自民党内の「石破おろし」が政局になっている。底流には石破茂首相が党内で敬遠されているという現実があるからだ。自民党が下野した時期にも党の再生に尽力するなど、党に対する貢献度が高いと評価されてきた。しかしその一方で党の主流派とは異なる独自の政治的主張を貫く姿勢や、派閥の論理にとらわれない行動が、党内での孤立を招いたとされている。派閥政治が根強い自民党において、一時は自らの派閥である「水月会」を率いたものの、最終的に解消するに至るなど、派閥とは一線を画すスタンスが、組織的な支持を得にくい要因となっている。また自身の信念に基づき、時に党の方針や主流派を批判するような「正しいことを言う」言動が目立った。これは国民からは評価される一方、党内からは「身内を傷つける」と受け取られしまい、不信感につながることがあった。政治の世界では、政策だけでなく人間関係も重要になる。石破は周囲に「総理になりたい、だから力を貸してくれ」と素直に言えないタイプだと評されたり、安倍晋三元首相をはじめとする特定の政治家との関係が悪化したりするなど、人間関係の構築が苦手であるという指摘がされてきた。

自民党旗
自民党の標章

これらの要因が複合的に絡み合い、党内での広範な支持を得られなかった背景にあると考えられる。これらの理由から、国民からの人気は高いにもかかわらず、長らく自民党の総裁にはなれない状況が続いていた。ところが参院選の結果を受けて進退が取り沙汰されている石破茂首相の続投を求め「石破辞めるな」と書かれたプラカードなどを掲げたスタンディングデモがで行われたのである。この動きはソーシャルメディアに継承され石破茂相の「追い風」になっているという。いかに少数与党とはいえ「首班指名選挙」では自民党総裁が選ばれると想像される。自民党支持者でないので、同党の動きには基本的には関心がないが、そうは言っている場合ではない。首相になった途端に前言を翻すことが増えたことが気になる。杉田水脈(みお)前衆院議員が過去に述べた「女性はいくらでもウソをつける」などの発言について「強烈な違和感」があると語ったが、参院選の蓋を開けてみたところ、比例代表の名簿にその名を連れていたのが記憶に新しい。いわば「不言実行」ならぬ「有言不実行」である。これまでは「自民党内で嫌われている」ことが国民の支持の理由だったのに、これではこれまで支持してきた国民からも嫌われてしまうかもしれない。

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