2024年6月18日

リコーが発表したフィルムコンパクトカメラ は時代錯誤ではないだろうか

リコーイメージング(株)が6月18日、フィルムコンパクトカメラ PENTAX 17 を発表した。35mmフィルムカメラの画面サイズは一般的には36×24mmである。かつてライカが採用して全世界に広まったフォーマットでライカ判と呼ぶこともある。PENTAX 17 はこの約半分のいわゆるハーフサイズの17×24mmで、名称もこれに由来するそうだ。36枚撮りのフィルムなら72枚、24枚撮りのフィルムなら48枚など、2倍の枚数が撮影できる。焦点距離25mm(35ミリ判換算で約37mm相当)の単焦点レンズを搭載。7月12日(金)に発売、直販価格は1年保証のダークシルバー オリジナルセットが¥88,000(税込)である。国内で21年ぶりとなるフィルムカメラの新型機だが、スマートフォンで手軽に写真が撮れる時代に、あえて手間をかけることで生まれる、レトロな体験に価値を見いだすZ世代の若年層の開拓を狙ったものだという。だが、待て、しかしである。

Kodak_Tmax_400

フィルムカメラはフィルム自体が高価だし、ラボが残存するものの、現像・プリント代はやはり高価である。ライカやローライなどの中古カメラが未だに高値で売買されている背景が、開発を後押ししたのだろうか。リコーはデジタルカメラでもヒット、GRシリーズは入手困難で注文受付を一時停止している。新たなフィルムカメラの販売も勝算があるのだろう。私自身はフィルムに戻る気は毛頭ないので食指は動かない。あのじめじめした「暗室」より「明るい部屋」でのデジタル作業のほうが爽やかだからだ。フィルムカメラは、現像処理に多くの化学物質を使用するため、環境への負荷が大きいという問題がある。セバスチャン・サルガドは環境問題への意識が高く、デジタルカメラへの切り替えは、環境保護への取り組みの一環だったと考えられる。「デジタルカメラは、写真家にとって革命的なツールだ。フィルムカメラよりも自由度が高く、表現の可能性を広げてくれる」という言葉も納得できる。考えてみると PENTAX 17 は時代錯誤の発想の産物ではないだろうか。

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