ツイッターを12022年10月末に買収した米起業家イーロン・マスクが同年11月19日、凍結されていたドナルド・トランプ前米大統領のアカウントを復活した。前エントリ―「ツイートを再開するドナルド・トランプ前大統領」で解説したように、未だにツイートしていないのは、自身のソーシャルメディアプラットフォーム Truth Social(トゥルース・ソーシャル)との独占契約が6月にならないと切れないからだ。マスクは赤字解消のため多数の従業員を解雇した。収益を図るためサブスクリプション(定期購読継続購入)Twitter Blue の受け付けを日本でも始めた。月額利用料は980円だが、iOS版は1,380円である。Twitter Blue の特典は以下の通り。
- 登録時に電話番号認証を行い、承認されるとアカウントに青いチェックマークが付く。
- 投稿後30分以内であれば5回まで内容の編集ができる。
- 取り消し時間内(5秒~60秒)であれば投稿したツイートが公開される前に取り消すことができる。
- ブックマークフォルダを整理することができる。
- 最大60分、ファイルサイズ2GBまでの長尺動画(1080p)をアップロードできる。
- 選択したコンテンツや機能を2~6つまでナビゲーションバーに表示させることができる。
- 背景やスマホのツイッターアプリのアイコンデザインを変更することができる。
- フォロー中のアカウントやフォロワーの間で多く共有されている投稿が自動で一覧化される。
- 長いスレッドを読みやすいデザインに変換して表示することができる。
Twitter Blue 購入で際立つ特典は、アカウントに青いチェックマークが付くことだろう。旧来のチェックマークは著名人になりすますこと防ぐための印だったが、お金さえ払えば手に入れることができるようになった。言い換えればステータスとして青いマークは存在意義が薄れる可能性がある。登録時に電話番号認証を行う必要があるものの、新たななりすまし行為が横行するかもしれない。個人ユーザーにとって利用料が高いという意見があるようだが、企業にとって長尺動画投稿ができるだけでも、安価といえるだろう。元にイーロン・マスクは、自身が経営する電気自動車テスラの1時間余りの動画をアップロードしている。これはすでに何回か指摘したことだが、ドナルド・トランプ前大統領のアカウントの凍結を解除したことは問題があり過ぎると言える。大統領選における陰謀論を黙認することになるからだ。そしてまた、有害情報が跋扈する可能性が出てきた。マスクはツイッターの信頼・安全評議会を完全に解散させ、これまでツイッターのルール違反で禁止されていた数多くのアカウントを復活させるなど、ヘイトスピーチが野放しにされるのに理想的な状況を作り出しているのである。 マスクがツイッターの CEO に就任してから約3ヶ月の間に、同プラットフォームにおけるヘイトの増加を示唆する逸話的な報告(およびいくつかの研究)がある。多くの元ユーザーは、彼が就任して以来、プラットフォームを放棄した理由を憎悪と悪用の増加に求めているのである。
当時、ヘイトスピーチの印象を「スパイク前のレベル」よりもよりも3分の1に減らすことに成功したという主張を説明するためのグラフをツイートしていた。しかし、彼はまた、このスパイクが少数のアカウントに関連しているだけであり、むしろ彼が買収してからコンテンツモデレーションの有効性が広く低下し、既存のルールブックを破り捨てることに着手したことを示唆したのである。つまり前述の通り、ヘイトスピーチが野放し状態になっているのが現実なのである。ツイッターは今や個人のツイート、すなわちサエズリを吐露するスペース以上の役割果しているソーシャルメディア、すなわち公共の言論プラットフォームであること忘れてはならない。行く末は不透明だが、一起業家に買い取られたことは不幸であったかもしれない。お下記リンク先は「イーロン・マスクのツイッターがドイツでホロコースト否定のヘイトスピーチ訴訟で大打撃」題した TechCrunch の興味深い記事である。できればこれも取り上げたいと思っている。
Elon Musk's Twitter hit with holocaust denial hate speech lawsuit in Germany | TechCrunch
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