2022年4月20日

社会的弱者に寄り添った写真家メアリー・エレン・マーク

Damm family
Homeless Damm family in their car, Los Angeles, California, 1987
Mary Ellen Mark with Leica

アメリカの女性写真家メアリー・エレン・マークは、1940年3月20日、ペンシルベニア州エルキンスパークで生まれ育った。9歳のときコダックのボックスカメラ「ブラウニー」を使って写真を撮り始めた。チェルトナム高校ではチアリーダーを務め、絵画にも興味を示す。1962年、ペンシルベニア大学で絵画と美術史の学士号を取得後、アネンバーグ・コミュニケーションスクールのフォトジャーナリズム修士課程に入学し、1964年に修了した。翌年、フルブライト奨学金を得て、トルコで1年間撮影を行う。また、奨学金を受けている間に、欧州のスペイン、ドイツ、イギリス、イタリア、ギリシャを旅行した。世界の多様な文化やヒューマニズムに焦点を当てた作品を発表する。フォトエッセイやポートレートは雑誌『ライフ』『ニューヨーク・タイム・マガジン』『ニューヨーカー』『ローリングストーンズ』『ヴァニティ・フェア』誌などに掲載された。1967年、トルコからニューヨークに移り、ベトナム戦争反対運動や女性解放運動などに取り組む。 オレゴン州立精神病院の81病棟で撮影された、ミロス・フォアマン監督(1932–2018)の『カッコーの巣の上で』をきっかけに、映画のスチール写真の仕事を始める。

ward
Laurie in the Bathtub, Ward 81 of the State Hospital, Oregon, 1976

アーサー・ペン監督(1922-2010)の『アリスのレストラン』(1969年)マイク・ニコルズ監督(1931–2014)の『キャッチ-22』(1970年)『カーナル・ノレッジ』(1971年)フランシス・フォード・コッポラ監督(born 1939)の『アポカリプス・ナウ』(1979年)のスチール写真を撮影した。その後ルック誌の依頼で、フェデリコ・フェリーニ監督(1920–1993)がローマで撮影していた『サテリコン』を撮影することになった。その後1979年に81病棟(オレゴン州立精神病院の女性病棟)の女性たちをテーマにした本を出版。この本は彼女が「社会的に良いスタートを切っていない人たち」を描いた最初のプロジェクトだった。

Amanda and her cousin Amy
Amanda and her cousin Amy, Valdese, North Carolina, 1990

1980年、マークはライフ誌のために、マザー・テレサ(1910–1997)とミッション・オブ・チャリティの貧しい人々を撮影する機会を得た。 彼女の写真は1980年7月に「インドの貧しい人々を抱くスラム街の聖なる修道女テレサ」として掲載された。1983年「失われた通り:家出した子供たちがシアトルで悲惨な生活を送っている」という記事がライフマガジンから出版され、売春婦やハスラーの若者たちが何十人も紹介された。1988年、メアリー・エレン・マークは、これらの若者たちと親交を深め "StreetWise"(ストリートワイズ)と名付けた、感動的なスチール・シリーズを制作する。その中で最も印象的なのは、14歳の少女エリンの写真である。恐怖や痛み、不快感のどん底にいる無表情な子どもの姿は、魂のこもったスチール写真だ。

Twins Days Festival
Tashara and Tanesha Reese, Twins Days Festival, Twinsburg, Ohio, 1998

1987年、マークはロサンゼルスのホームレス、ダムス一家と出会う。ディーンとリンダが2人の子供と車で生活している様子を撮影した白黒写真である。1992年、廃墟となった豚の牧場で不法に暮らすようになったダムス一家を再び撮影する。崩壊寸前のジャンク・ファミリーをエモーショナルに撮影している。なおマークは "Passport" パスポート(1974年) "Ward 81" 81病棟 (1979年) "Streetwise" ストリートワイズ(1992年)"Prom" プロム(2012年)など、18冊の著書がある。ロバート・F・ケネディ・ジャーナリズム賞、特別写真家賞などを受賞した。献身的で素晴らしい写真家だった彼女は「私はドキュメンタリー写真家です。ずっとなりたかったもので、私の心と魂はそこにあるのです」という言葉を残している。2015年5月25日、骨髄不全による血液の病気である、骨髄異形成症候群のため、マンハッタンで亡くなった。75歳だった。

ICP  Mary Ellen Mark (1940-2015) | Biography & Works | International Center of Photography

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