2021年3月20日

カントリー音楽のベース奏者ボビー・ダイソン

BobbyDyson
Bobby Dyson (1934-1997)

これは私が敬愛してやまないカントリー歌手ドリー・パートンの LP アルバム "Coat Of Many Colors" のカバー写真だが、今ここで書こうとしているのは、彼女のことではなく、このレコードでベースを演奏しているボビー・ダイソンのことである。オーディオの世界では低音用スピーカーユニットをウーファー、すなわち犬の唸り声と呼ぶ。高音用は小鳥の囀りを意味するツイ―ターである。ダイソンのベースの音程は犬の唸り声であるが、その旋律は籠から放たれた美しい小鳥の鳴き声のようである。ウェブサイト RolandNote のデーターベースによると、ダイソンは、テキサス州ダルハートで1934年5月に生まれた。ジム・リーヴス、ドリー・パートン、ウェイロン・ジェニングスなどのヒット曲に参加し、グランド・オール・オプリーで初めてエレクトリック・ベースを演奏したミュージシャンである。彼はフラットワウン弦を張った初期のジャズベースをサムピックで、時には指で弾いていたようだ。ベースはドラムと同様リズムを刻む楽器である。クラッシック音楽の世界では、ダブルベース、すなわちコントラバスの狂騒曲があるが、その数は極端に少ないようだ。ぜひ鑑賞してみたいが、演奏会そのものが稀有だと想像される。

Electric Bass

コントラバスが得意とする音域は、旋律に適していないからだろう。ポピュラー音楽のバンドの中では縁の下の力持ち的存在になりがちだが、ジャズ奏者のポール・チェンバースはダブルベースでメロディアスなベースラインを駆使したアドリブソロで知られていたし、そしてフェンダーのエレクトリック・ベースを愛用、ボーカル並みの存在感を放つマーカス・ミラーのようなベース奏者もいる。カントリー音楽ではロイ・ハスキー・ジュニアが真っ先に頭に浮かぶ。飾り気のないベースランニングがリズムに安定感を与えてくれる。彼はブルーグラス、フォーク、ケイジャン、フォーク・ロックなど、さまざまなスタイルの音楽を手がけた。ダイソンはベース奏者だったが、ソングライターでもあった。多岐にわたって才能を発揮したが、その最たるものが1966年に映画 "Country Boy" にも出演したことだろう。しかし最も大きな影響を与えたのはスタジオレコーディングであり、400枚以上のレコード作品に参加したと言われている。なお彼自身の45回転シングル盤 "Bobby Dyson And Appomatox Station" がキャピタルレコードから1973年にリリースされている。1997年3月、脳卒中のためテネシー州ナッシュビルのバプティスト病院で逝去、享年63歳だった。

WWW The Complete discography (1959-2020) of Bobby Dyson | AllMusic | Netaktion LLC

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