2018年9月13日

危うい北海道の電力供給体制

北海道への電力融通増強計画(出典:北海道電力)

泊原発の位置に注目 ©北海道新聞
朝日新聞9月12日付け電子版によると、9月6日未明の地震直後に北海道電力が本州側から緊急の電力融通を受けるなどして、いったんは電力の需給バランスを回復していた。ところがその後何らかの理由で再びバランスが崩れ、地震から18分後に道内ほぼ全域のブラックアウトに陥ったという。発生直後、震源近くにあった北海道最大の火力である苫東厚真発電所の2、4号機が自動停止し、当時の供給力の4割強が一気に失われた。本州との間を結ぶ海底ケーブル「北本連系線」は北海道の異常を探知し、本州から60万kWの電力供給を始めた。北電もブラックアウトを防ぐため、一部地域を強制的に停電させて需要を減らす措置をとったが、安定した状況は続かなかった。本州からの送電はふたたび増加に転じ、同3時11分に60万kWに達した。その14分後、苫東厚真で唯一、発電を続けていた1号機が停止。ほぼ同時にほかの地域で動いていた発電所もすべて止まり、北海道は闇に包まれたのである。

新ルート「北斗今別直流幹線」の断面(出典:北海道電力)

海底ケーブル「北本連系線」の送電能力は60万kWが限界だそうだが、これでは足りず、青函トンネルを利用した新たな「北斗今別直流幹線」を増設して合計90万kWに増やし、2019年3月に運転を開始する予定になっている。北海道の電力系統規模は360万kW程度で、東日本の4,100万kW、西日本の5,500万kWなど他の地域と比べて小さいという特徴がある。従ってたとえ90万kW融通されても、道内の電力不足をカバーするには、大きく不足していることはシロウトでも分かる。やはり供給量の半分を苫東厚真発電所1カ所に依存するリスクが露呈したと言えそうだ。今回のブラックアウトを受け、泊原発を再稼働すべきという意見がまたしても出そうである。しかし建屋の直下に活断層があり、再稼働はとんでもない話である。

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