2017年10月24日

ダイアン・アーバス自撮りヌード奇譚

Diane Arbus (1923-1971) Self-Portrait, Pregnant, N.Y.C., 1945

 Diane & Allan Arbus (1950)
この写真をソーシャルメディア Facebook に投稿したところ、削除され、おまけに主な機能の利用停止処分を食らってしまった。理由は「Facebook のポリシーに違反するコンテンツ」ということらしく、33時間、投稿は無論、いいね!ボタンも押せなくなってしまったのである。ダイアン・アーバスの意外な側面を知る上で貴重な写真と思うのだが、要するにどんな内容であれ、ヌード写真はとにかく駄目ということらしい。というわけで、ここに紹介することにした。ダイアンのセルフヌードは、私が知ってる限りでは1944年と、1945年のこの写真が流布されている。1941年、18歳のダイアンは幼な馴染のアラン・アーバスと結婚、1945年に長女ドーンを出産した。つまりこれは妊娠中の写真で、陸軍信号隊の写真家として従軍、インドに駐屯していた夫に送ったものだという。ダイアンというと二眼レフを連想しがちだが、これは大判のデアドルフである。彼女はまだ写真家ではなかったが、若い夫婦がファッションや広告写真の事業を始めることを期待、ニューヨークでデパートを経営していたダイアンの父親が購入したものである。白いブリーフをつけただけのダイアンが、ベッドルームの鏡に向かってポーズをとっている。妙に艶めかしく、私生活を覗き見した気分になるのは私だけだろうか。明らかなプライベート写真で、アランに妊娠を知らせるために撮った一枚なのである。1959年に彼らは別居、1969年に離婚したが、二人の娘がいたため、アランは日曜の朝食にやってきて、ダイアンのフィルムの現像を続けたようである。1956年にダイアンは商業写真から手を引き、35ミリのニコンを使うようになった。後にローライやマミヤの二眼レフに持ち替え、性倒錯者、畸形、身体障碍者などの所謂「フリークス」を撮り始めたのはご存知の通りである。その中にはヌーディスト・キャンプに飛び込んで撮影したものなど、いくつかのヌード写真が含まれるが、それは彼女の蒐集癖の産物であり、若き日のセルフポートレートとは隔たりがある。そのプライベート写真がどのような経緯で公表されたのか、寡聞にして私は知らない。

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