2017年3月18日

映画『残されし大地』の静寂


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ジル・ローラン監督作品『残されし大地』(La Terre Abandonnée)を観賞する機会があった。福島第一原発から約12キロメートル、帰還困難区域として指定された富岡町に留まり、猫、犬、牛、かつて福島第一原発で飼育されていたダチョウ等の動物保護活動を続ける、松村直登さんをキーパーソンにしたドキュメンタリー映画である。ローランさんは元はベルギーの映画録音技師だったが、妻の鵜戸玲子さんの母国である日本に2013年に家族と共に来日した。富岡町の松村直登さんの存在を知り、自らメガホンを取る事を決意、初監督作品に挑むことになった。2015年夏から秋にかけて富岡町や南相馬市で撮影、編集のためベルギーに戻った。鵜戸さんによると「内輪で試写会をする予定の日でした。編集スタジオに向かう地下鉄でテロに遭い、ほぼ即死でした」という。映画は饒舌を避け、淡々と進行する。時折、風の音や小鳥の声が響く。まさに静寂の中の音、耳を澄まさないと聴こえない音をキャッチしているのである。ローランさんは小津安二郎監督に傾倒、特に『東京物語』に惹かれていたという。そういえば「小津調」の強い影響が窺える。原題の直訳は『棄てられた大地』だが、思考を重ねて『残されし大地』という言葉が浮かんだと鵜戸さんが話してくれた。

Movie Film  ジル・ローラン監督作品『残されし大地』(La Terre Abandonnée)公式サイト

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