Saul Leiter |
ソール・ライターは1923年12月3日、世界的に有名なユダヤ教のタルムード学者の息子として、 ペンシルベニア州ピッツバーグに生まれた。ライターが芸術に興味を持ち始めたのは10代後半の頃で母親がカメラをプレゼントした。父親のようなラビになるように勧められたものの、神学校を中退し、23歳の時にニューヨークに移って絵画の道を歩み始めた。写真の実験をしていた抽象表現主義の画家リチャード・プーゼット=ダートと親しくなった。プーゼット=ダートとの友情、そしてその後すぐに出会ったユージン・スミスからの影響によって、彼の写真への関心は広がった。彼はすぐに数枚のスミスの写真を参考にライカで白黒写真を撮り始めた。ライターの初期の白黒写真は、写真という媒体に対する並外れた親和性を示している。1950年代までには、カラー写真も手がけ始め、写真という媒体の黎明期に、広範かつ重要な作品群をまとめた。彼の独特の落ち着いた色彩は、同時代の画家の作品の中でも際立った絵画的な品質を備えていることがよくある。ライターの最初のカラー写真展は、1950年代に、当時の抽象表現主義の画家たちの会合の場であったアーティスト・クラブで開かれた。
エドワード・スタイケンは、1953年にニューヨーク近代美術館で開催された画期的な展覧会 "Always the Young Stranger"(いつも若い異邦人)にライターの白黒写真23点を出品した。そして1957年にニューヨーク近代美術館で開催されたカンファレンス "Experimental Photography in Color"(実験的カラー写真)にもライターのカラー写真20点を出品した。1950年代後半、アートディレクターのヘンリー・ウルフは、ライターのカラーファッション作品を『エスクァイア』、後に『ハーパーズ・バザー』に掲載した。しかしその後40年間にわたり、ライターの非営利的な作品は、アート界全体にほとんど知られていないままだった。ライターは1970年代を通じてファッション写真家として活動を続け『ショー』『エル』『クイーン』『ノヴァ』『ブリティッシュ・ヴォーグ』などの出版物に寄稿した。
ライターは現在、初期カラー写真の先駆者とみなされており、戦後の写真界の傑出した人物のひとりとして知られている。1990年代を通じてハワード・グリーンバーグ・ギャラリーで数回の展覧会が行われた後、2006年にシュタイデル社からモノグラフ "Early Color"(初期のカラー)が出版されてから、ライターの作品は人気が急上昇した。編者のマーティン・ハリスンは「ライターの感受性は、ロバート・フランクやウィリアム・クラインといった写真家が関連づけられる、都会の不安との赤裸々な対峙の外側に自分を置いた。その代わりカメラは彼に、見て、事象を切り取り、現実を解釈する別の方法を与えた。彼はマンハッタンの大混乱の中で静かな人間らしい瞬間を捜し、最もありそうもない状況からユニークな都会の田園詩を創り出した」と書いた。
"Early Color" に続いて、ミルウォーキー美術館での初の大規模な回顧展 "In Living Color"(生きているカラー/2006年)を皮切りに、写真と絵画におけるライターの作品の奥深さと範囲を強調する一連のモノグラフと国際展が続いた。その後、パリのアンリ・カルティエ=ブレッソン財団、アムステルダムのユダヤ歴史博物館、ローザンヌのエリゼ宮、ハンブルクのディヒトールハーレンなど、いくつかの美術館などでライターの個展が開催された。最近のモノグラフには "Early Black and White"(初期の白黒写真/2014年)"Painted Nudes"(描かれたヌード/2015年)"In My Room"(自室にて/2017年)"All about Saul Leiter"(ソール・ライターのすべて/2017年)"Fashion Eye: Saul Leiter New York"(ファッションの眼差し/2017年)がある。
ライターの作品は、ニューヨーク近代美術館、ワシントンD.C.のナショナル・ギャラリー、ニューヨークのホイットニー美術館、ヒューストン美術館、シカゴ美術館、アムステルダム市立美術館、ヒューストン美術館、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館など、数多くの公共および個人のコレクションに収蔵されている。ライターは、トーマス・リーチによる受賞歴のあるドキュメンタリー "In No Great Hurry: 13 Lessons in Life with Saul Leiter"(急がない人生:ソール・ライターとの13の人生訓/2012年)の題材となった。ライターは2013年11月26日、ニューヨークで死去、89歳だった。
Saul Leiter (1923–2013) | Works | Wikipedia | Exhibitions | The Museum of Modern Art
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