ブルーグラス音楽が好きなので "Bluegrass Country" などのインターネットラジオを聴くことが多い。ところがこのシーズンになるとクリスマスソングが流れ始めるのでいささか辟易とする。京都の商店街もそのうちジングルベルの洪水が始まるのだろう。クリスマスはキリスト教の行事だが、しばしばその範疇を超えることがあるようだ。かなり昔、私の少年時代にはクリスマスイブになると、三角帽を頭にした酔客がケーキをぶら下げて帰宅、その姿の写真がが翌朝の新聞に掲載されたことを憶えている。さすがに昨今はその姿を見かけない。幼少期と中学生時代などをニューヨークで過ごした井上多恵子さんの「想いを英語に託せば」によると、宗教上の理由でクリスマスを祝わないユダヤ教徒らは Season's Greetings(時候のあいさつ)と書かれたカードを使うという。なるほど、非キリスト教徒が Merry Christmas というカードを出すのはおかしい。その点、ある意味で宗教色が薄いと言われる日本人はキリスト教徒ではなくともクリスマスに反発しないようだ。
というよりイブになると京都のカトリック河原町教会などは、俄か信者の若いカップルで例年一杯になったから面白い。非キリスト教徒向けのミサを「クリスマス市民の集い」と教会が称した催事があったが、新型コロナウィルスの流行で、ここ数年はこの名称をやめ、今年は12月24日(日)午後6時半「主の降誕ミサ(夜半のミサ)」午後9時「主の降誕ミサ(夜半のミサ)」がある。カトリック河原町教会といえば、ずいぶん昔に毎週1年間通ったことがある。東門陽二郎神父の講義を聴くために聖書講座に通った。東門神父はニチメン実業の創始者の家庭に生まれた。京都大学医学部を卒業、後にカトリック神学院へ入学、ローマ法皇庁へ派遣され、哲学、神学を学んでいる。いわば科学者から宗教家に転じたかたである。表現豊かな説教を一部の信徒が「東門歌舞伎」と密かに呼んでいたようだ。何度も質問したイエズスの「復活」について、死者が蘇るというのはいささか非科学的だと思うが、医学生だった神父ゆえ、絶妙のご返答をいただいた。宗教学上の興味で受講、たいへん勉強になったが、信仰に傾くことはなかった。やはり「復活」を受容できない自分を再認識したからだ。クリスマスソング、カードと共に、この季節になるとやはり東門神父の講義を思い出す。
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