Red Box 810 Large Format 8x10 Pinhole Camera
|
佐藤時啓:複眼針孔暗箱ユニット |
真っ赤に塗ったピンホールカメラといえば、東京藝術大学の佐藤時啓教授が考案した、複眼針孔暗箱ユニットとも言える装置を思い出す。右の写真のように複数の4x5カメラを備えたもので、それぞれの写真をマルチスクリーのように展示するとひとつの画像になるというものである。2007年、
ピンホール写真芸術学会発足式に併せ、
京都造形芸術大学のギャラリー「RAKU」で開催された個展で拝見したが、ギャラリートークで「赤くしたのはわざと目立つため」といった意味の解説をされていたように記憶している。こそこそ隠れるようにして撮るより、堂々と周囲の人に「撮ってます」と誇示する。その理由をなんとなく納得した私は、ピンホールカメラを作る機会があれば派手な色にしようと思ったものである。黄色や橙色でも良いのだが、赤い露出計を持っているし、同じ赤にした次第である。ただ全面を黒、側面を赤というように、ツートーンカラ―にしたほうがデザインとして良かったかなとも思っている。取り敢えず「Red Box 810」と名付けてみたが、日本語では「針孔赤箱810」といったところだろうか。カメラの技術仕様は次の通りである。
Format | : 8x10 inch |
Diameter | : 400microns |
F-number | : f300 |
Focal Lengh | : 120mm |
Angle | : 104.95° |
ピンホールプレートは米国の
エドモンズ光学機器の製品で、本来レーザー光線機器に使われるものである。針孔径400ミクロンは0.400ミリで、小数点以下3桁が有効数字と精密に作られている。ピンホールカメラには焦点という概念はないが、露出を決めるときにf値が必要になる。従ってフランジバック、つまりピンホールと感光材料面の距離を便宜的に焦点距離と呼ぶが、120ミリである。レンズなら超広角と言えるが、ピンホールでは珍しくなく、4x5のカメラに換算すると60ミリとなる。赤い露出計は
セコニックのL-308Sで、同社創業60周年記念モデルである。赤、青、緑、それぞれ60台ずつ国内出荷したものだが、入手困難だった。幸い米国の通販サイトB&Hに在庫があったので逆輸入したものである。単三電池が使えるのが有難いが、頭部が回転しないのが残念である。反射光式で測るときに計測値を見ながらできないからだ。さて、出来上がってみるとなかなかの存在感だと自画自賛、早くフィールドに出したいが、個展終了後にしよう。赤が揃ったので、いっそのこと赤いフィルターをつけて撮ってみようかと思っている。
0 件のコメント:
コメントを投稿