2011年8月5日

現世にこだわる現代人の宗教世界を再び写真主題に

仏花 石像寺(京都市上京区千本上立売上る) Nikon D700 + Zoneplate

ゼロイメージ社の木製針孔暗箱を購入したのは2006年春に遡るが、このカメラ持って京都寺院巡りを始めた。所謂「京のご利益さん」と呼ばれる民間信仰が盛んな寺院を守り、後に朝日新聞のこころのページに「ピンホールの目」と題して連載したことが思い出される。かつで取り憑かたように大和寺の仏教寺を巡ったこともあるし、書棚には仏教書が並んでいる。あるいは京都の河原町カトリック教会の聖書講座に一年間通った経験もあるし、さぞかし宗教的な人間と思われるかもしれない。しかし例えばFacebookのプロフィール宗教欄にはAtheist(無神論者)と登録してある。おそらく学校学んだ自然科学のつたない知識が邪魔をして信仰の道に走らないのかもしれない。

涎掛け 石像寺(京都市上京区千本上立売上る) Nikon D700 + Zoneplate

今年5月、車椅子の物理学者と知られる物理学者スティーブン・ホーキング博士が「天国も死後の世界もない」と英ガーディアン紙のインタビューに答えて話題になったが、これは素直に受け入れることができた。しかしその一方、私は仏教における浄土思想などには興味がある。中世の権力者たちは死を恐れ、例えば宇治の平等院阿弥陀堂のような建造物を造った。一方庶民は現世の苦しみを逃れるため、来世、死後のパラダイス西方浄土に憧れた。現代人は現世にこだわり、死を恐れ慄いている。そういった世相に漠然とした興味を持ち、自ずと写真のテーマもそこに傾斜してゆく。掲載写真は新たな写真主題への試行である。この秋にはスタートできるだろうか。

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