2019年1月16日

安倍政権の対露外交は破綻している

千島列島国境の歴史的変遷(ウィキペディア

安倍晋三首相は外交が得意だそうだ。なにしろ「フクシマはコントロール下にある」と、息を吸うように嘘をつき、五輪誘致をした御仁だから、その「実績」を自慢するのだろう。北方領土をめぐる日露交渉で、安倍首相がウラジーミル・プーチン大統領に対し「1956年の日ソ共同宣言に沿って歯舞群島、色丹島が日本に引き渡された後でも、日米安保条約に基づいて米軍基地を島に置くことはないと伝えた」という報道が記憶に新しい。しかし返す刀で大統領に「日本にどこまで主権があるのか分からない」と喝破された。日本の決定権を疑う例として、沖縄県のアメリカ軍基地を挙げ「知事も住民も反対しているのに基地は増強されている」と核心を突かれてしまったのである。ところで一昨日、セルゲイ・ラブロフ外相と河野太郎外相との間で、北方領土問題を含めた平和条約締結交渉の協議がスタートしたが、会談の前にロシアのマリヤ・ザハロワ報道官が国営テレビで「日本側が共同記者会見を拒否した」と暴露した。東京新聞15日付け電子版によると、会談ではラブロフ外相が日本側に北方領土の名称も含めて、厳しく詰め寄ったことが明らかになった。要するに「日本が国内法で『北方領土』と規定していることは受け入れられない」と言及したようだ。しかし河野外相は具体的な会談の中身を一切説明できなかったそうである。慌てた菅義偉官房長官は、旧ソ連やロシアによる「不法占拠」が続いていると記者会見で発言したが、国内向けに過ぎない。ロシア政府に直接主張しないと犬の遠吠えに終わってしまう。今月9日、安倍首相が年頭記者会見で、北方領土の帰属が「日本に変わることをロシア住民に理解してもらう」とした発言に、ロシア外務省は反発、領土返還を前提にした日本側の情報発信に対し強い姿勢に転じている。安倍首相は国内向けに嘘を発信する、二枚舌のペテン師である。来週22日に安倍首相が訪ロしてプーチン大統領と首脳会談が行われるが、期待せずに見守ることにしよう。プーチン大統領が交渉のテーブルにつくのは、日本からの経済援助を期待しているからだろう。本音は「北方領土は四島はおろか二島も返さないけど、お金は貰う」なのかもしれないのである。日露外交の主導権はロシアに握られたままだ。

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