2025年9月23日

精巧に演出された赤ちゃんたちの愛らしい写真で世界的評価を受けるアン・ゲデス

Four month old Joshua
Four month old Joshua hangs from a hook in Auckland, New Zealand, 1990

Anne Geddes

アン・エリザベス・ゲデスは1956年9月13日、オーストラリアのクイーンズランド州ホームヒルに生まれた。ニューヨーク市を拠点とする肖像写真家であり、主に精巧に演出された幼児の写真で知られている。ゲデスの著書は83カ国で出版されている。彼女の著書は1,800万冊以上、カレンダーは1,300万個売れている。1997年にはリフォルニア州サンラファエルにあるセドコ出版がゲデスの写真を使ったカレンダーとスケジュール帳を180万部以上販売した。1996年のデビュー作 "Down in the Garden"(庭に降りる)はオプラ・ウィンフリー・ショーで取り上げられ、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーリストに入った。彼女の著書は23の言語に翻訳されている。2007年の自伝 "Labor of Love"(愛の労働)の中で、ゲデスはオーストラリアのクイーンズランド州にある家族の牧場で過ごした幼少期の苦労について語っている。17歳で学校を中退し、家を出た。その後ケル・ゲデスと出会い結婚、1983年に彼のテレビの仕事の関係で香港に移住した。そこで25歳の時、彼女は夫の一眼レフ、ペンタックスK1000を使って独学で写真を習得する。

eas in a pod
Children are peas in a pod, 1995

その2年後、夫妻がシドニーに戻る頃には、彼女は小さなポートフォリオを作成していた。2人の娘の写真を家族のクリスマスカードに使用し、好評を得たことをきっかけに、彼女は赤ちゃんの写真撮影を専門とするようになった。ゲデスは30歳で夫の仕事の関係でメルボルンに移住し、プロの写真家になった。地元の写真家のアシスタントを務めた後、自宅のガレージで自身のスタジオを立ち上げる。慈善活動のための写真も撮影している。自身の慈善プログラム「ゲデス慈善信託」を設立し、その主な目的は児童虐待とネグレクトへの意識を高めることであった。

Butterfly
Monarch Butterfly Baby Doll, 1990s

2013年には、髄膜炎菌感染症の生存者のためのシリーズを制作した。この病気の影響を受けた家族や子供たちを描き、生き延びた人々に敬意を表している。彼女は「私たちの明日を守る:髄膜炎菌感染症のポートレート」キャンペーンのために、髄膜炎から生き延びた15人の子供たちの写真を撮影した。ゲデスの初の回顧展は、2025年8月16日にドイツの古都ニュルンベルクにあるテュービンゲン新美術館(NKT)で開催された。ゲデスは、すべての赤ちゃんが美しいと信じているため、赤ちゃんをモデルとしてオーディションすることはしない。

Woodlan
Woodland Fairy, 2016

その代わりに、多胎出産や双子出産のクラブと連絡を取り合い、親たちから送られてきた何千枚もの写真を保管している。ゲデスは現在、夫のケルと共にニューヨークに住んでいる。典型的なシッティングは、赤ちゃんが十分に休んでいる午前中に行われ、約30分間続く。そうでないと、赤ちゃんは退屈したり、ぐずったりしてしまう可能性がある。良い写真を撮るには「本当に素早く行動しなければなりません」と言う。彼女はスタジオを事前に準備し、小道具、照明、カメラ、機材などをすべて揃える 。そのため、赤ちゃんはただ座るだけで済む。

Mustard tin
Mustard tins produced by Anne Geddes, 2008

特大の靴や植木鉢など、多くの小道具は特注品である。赤ちゃんの表情作りを手助けするために、両親をそばに置いて撮影したようだ。ニュージーランドのオークランドで生後4か月のジョシュアがフックにぶら下がっている写真は1990年に撮影された。ゲデスによると、これは赤ちゃんの体重を測る昔ながらの方法だという。2004年の女王誕生日叙勲で、ゲデスは写真とコミュニティへの貢献が認められ、ニュージーランド功労勲章を受章した。2017年、ゲデスは国際写真殿堂博物館入りを果たした。下記リンク先はマルツィア・ニコリーニによるフランス語版『ヴァニティ・フェア』誌のインタビュー記事「子供の味方アン・ゲデス」です。

Vanity Fair  Anne Geddes (born 1956) Dalla parte dei bambini di Marzia Nicolini | Vanity Fair France

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