2025年9月10日

自民党総裁選に挑む高市早苗の危うい政治理念

Sanae Takaichi
高市早苗の風刺漫画 ©作者不詳

自民党は今月8日、石破茂首相(党総裁)の退陣表明に伴う総裁選について、党所属の国会議員とともに全国の党員・党友が投票する党員参加型(フルスペック型)で実施し、22日告示、10月4日投開票とする方向で協議、今月9日に正式に決まった。朝日新聞デジタル版によると、総裁選をめぐっては、高市早苗前経済安全保障相が8日までに、自身と近い議員らに対し、立候補する意向を伝えていたことがわかった。高市氏は前回総裁選の初回投票で首位だった実績から、有力候補とみなされている。。大型選挙での連敗を受け「解党的出直し」を掲げているだけに、党内からは党員・党友の声を重んじるべきだとの意見が聞かれる。カギを握るのは前回総裁選で石破茂首相(党総裁)に入った「108票」の行方だ。108票とは、昨年9月の前回総裁選で石破首相が得た党員票のことだ。高市早苗前経済安全保障担当相が109票を獲得して党員票では首位だったものの、決選投票で国会議員票の多くが石破首相に集まり逆転した経緯がある。関係者は「いまだに支持者から『なぜ党員の声を無視して石破を選んだのか』と言われる」という。読売新聞オンライン版によると本命候補の一人とされる小泉進次郎農水大臣は記者団に「何ができるのかよく考えたい」と述べるにとどめたという。

前回の自民党総裁選
前回の自民党総裁選(2024年9月実施)

高市早苗立候補予定者を推す動きが広がってることで、ネットなどでは、彼女のこれまでの発言なども取りざたされ、総裁・首相に相応しいのかという論議になるほどの注目ぶりだ。過去の問題発言を拾い読みしてみよう。

  1. 何はともあれ、現在の学校教育というものは、子供たちに甘すぎる。
  2. 教育は税金を使って実施しているのだから、一つの国策と考えてもいい。
  3. だから教師は、学校が決めたルールに子供たちを断固従わせるくらいの厳しさを持つべきである。
  4. 卒業式の「日の丸」や「君が代」にしても、これを不服として卒業式をボイコットする生徒には卒業証書を授与しないくらいの強い態度をとってほしいものだ。
  5. 今こそ「結果平等」から「機会平等」へと転換していくべきである。
  6. 今の子供たちを見ていると「摩擦」に対する耐性ができていないという印象がある。これは、戦後の「行き過ぎた結果平等教育」の影響であろう。
  7. 憲法には「その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」(26条)とある。しかし現状では、この「能力に応じて」という点は無視され、「結果」だけの平等が目指されている。
  8. 私たち日本人は「自立と勤勉の倫理」を再び取り戻さなければならない。
  9. 現在の雇用情勢は厳しいですが、仕事を選り好みしなければ、働ける場所は沢山あります。
  10. 私の両親が若かった頃は戦後の混乱期で、食料も社会資本も不足し、子育て支援などの福祉制度も今ほど整ってはいませんでした。仕事を選ぶ余裕もなく、歯を食いしばって勤勉に働いて頑張ってきた世代です。
  11. その方々のおかげで今の私たちがいるのです。若い世代までが富を生み出さずに福祉のお金を使っていては日本も滅びますので、キャリア教育などで子供たちの勤労観や職業観を養うことも含めて、もう一度大事な価値を取り戻したいと考えています。

先の参院選で自民党が大敗したのは、保守支持層が参政党に流れたからだという。参政党の政治的立場については、様々な見解があり、一概に「極右」と断定することは困難である。党自身は、特定のイデオロギーに偏らない「中道寄り」の立場を掲げ、市民が主体となった政治の実現を目指していると説明しています。政策面では、農業の保護や積極的な財政支出、減税政策、そして移民受け入れや外国資本流入への規制などを主張しており「日本人のための政党」であることを強調している。高市早苗も「極右」と断定ができないが、危うい政治理念を持っている。この点が逆に彼女の人気を支えているようだ。

Bloomberg  自民党に路線選択迫る総裁選、保守票取り込みか刷新かーー連立にも影響 | ブルームバーグ日本語版

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