2025年9月21日

歩行能力の劣化を痛感して電動カート(シニアカー)を試乗してみた

Suzuki ET4D
スズキ 電動カート ET4D

英語の「カー」は自動車で「カート」は台車を意味する。日本では「電動カート」または別称「シニアカー」は主に高齢者や歩行に困難がある方が使用するが、健常者が免許証を返納して導入する例もあるようだ。ハンドル操作で動く一人乗りの電動車椅子を指す。道路交通法上は車両ではなく歩行者扱いとなるため、車道ではなく歩自動車の道を通行する。日本における電動カートの開発の歴史は意外と古く次の通りである。

スズキのセニアカー
日本で電動カートの普及に最も貢献したのがスズキである。1974年に「スズキモーターチェアZ600」を発売し、その後、高齢化社会の到来を見据えて、1985年に初代「セニアカー」を発売した。これは歩行者並みの速度で歩道を走行し、運転免許が不要という特徴から、多くの高齢者の移動手段として定着した。
ホンダのモンパル
ホンダもまた、高齢者のクオリティ・オブ・ライフ(高質生活)向上を目指し、電動カートの開発に取り組んだ。2006年に発売された「Monpal ML200」は、コンパクトな車幅(自転車並みの595mm)と、快適な乗り心地を追求したサスペンションなどが特徴で、使いやすさと安全性を両立させた製品として開発された。
handle
操作パネル

加齢と共に歩行能力の劣化を痛感、レンタル業者にスズキの最新電動カート ET4D を試乗させていただいた。自動車事故でアクセルとブレーキの踏み違いが話題になることが多々ある。電動カートは速度が遅いので大きな事故にならないと想像するのは危早計で、安全性が気がかりである。歩道を走行するので歩行者を跳ねる可能性がないわけではない。実際に試乗して気になることがある。電動カートはハンドルの走行レバーがアクセルで、握ると動き始め、離すと停止するようになっている。親切な設計だが、落とし穴があるような気がする。自転車やバイクのハンドルのレバーは一般的にはブレーキである。ところが電動カートの走行レバーがアクセルになっている。自転車やバイクを利用経験者は危険を感じた時、ブレーキをかけようとして、レバーを握ってしまい、加速させていることになり危険である。とこがレバーを強く握ると逆に緊急停止する。これは上記の自転車やバイクの運転に慣れた、多くの人の行動原理に合致する動作だが、握り方によって反対のっ動きになることになる。これを回避するには練習を重ねることが肝要となるだろ人々。電動カートは高齢者がもっとアクティブに外に出られるような環境をつくることを目的として開発された。つまり高齢者や足の不自由な方の移動をサポートするために開発されてきたモビリティで、その開発の歴史と背景には、社会の変化や技術の進歩が深く関わっている。つまり単なる移動手段としてだけでなく、高齢者が自立した生活を送るための「生活の質の向上」をサポートする製品として開発されたのである。その点を見逃さずに、ポジティブにその存在を捉えるべきだろう。

PDF  スズキの電動カート ET4D の取り扱い説明書の表示とダウンロード 2023年12月~(PDF 9.1MB)

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