憲法発布宮城二重橋御出門之図 楊洲周延画 明治22(1889)刊 大倉四郎兵衛 大判錦絵堅3枚続
秋の園遊会での山本太郎参議院議員の言動の余波が続いている。同議員は自らのオフィシャルホームページで「今回のお手紙をしたためた件で騒ぎが大きくなるにつれ、陛下と皇后陛下の御宸襟を悩ませる事態になった事を何よりも猛省しております。もし、もう一度御会釈の機会があれば、いつの日か今回の非礼をお詫びしたいと思っておりましたが、参議院の処分は『皇室行事への参加は認めない』と言う事で、その願いは叶わず、二重橋でお詫びいたします」と釈明した。宸襟(しんきん)とは聞きなれない言葉だが、天子、皇帝、天皇などの心中のことである。どうやら相当の天皇崇拝者であると推測する。二重橋云々は噴飯もの、余りにも古風なパフォーマンスで、式典で「天皇陛下万歳」と叫んだ安倍首相に相通ずる時代錯誤。思わず先日他界した島倉千代子のヒット曲『東京だよおっ母さん』を思い出してしまった。
久しぶりに 手をひいて宸襟といった古くさい言い回しに、旧憲法、すなわち大日本帝国憲法の「第1条:大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」を連想してしたのは私だけだろうか。ご当人の意識内かどうか不明だが、現憲法の「第1条:天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」と結びつかないのである。山本議員は後半に「国権の最高機関の一員としての意識をしっかりと持ち、市民の皆様と繋がり、この国に生きる子ども達を待ったなしの被曝から護り、収束作業員の劣悪な労働環境、危険すぎる食品の安全基準、全てを隠蔽し人間の尊厳を奪う特定秘密保護法に全力で立ち向かうことをお誓い申し上げます」と続ける。これは「第4条:天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない」という条項を知っていれば出る筈もない言葉である。あのような愚行の背景が浮き彫りになっている。
親子で歩ける うれしさに
小さい頃が 浮かんで来ますよ
おっ母さん
ここが ここが 二重橋
記念の写真を とりましょね
島倉千代子『東京だよおっ母さん』(1957年).
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