Pinar Demircan |
トルコの反原発活動家で、研究者のピナール・デミルカン博士が、原発に関する情報、リソース、分析、議論のためのワンストップ・リソース・ポータル DiaNuke.org に「福島の放射能汚染水放出は同様の行為の前例となりうる」と題した論文を寄稿した。世界の市民社会からの反対意見を無視し、海を核廃棄物置き場に変えてしまうことの根底には、その危機から生じる資本主義的慣行に触発されたより大きな目標がある、という見解がその主旨である。日本政府は「浄化」について真実を語っていないと主張。すなわち福島の放射能汚染水排出の例は、効率性と収益性を名目に、利益と業界の利益を優先する企業経営の考え方を採用した政治権力の姿を私たちに提示している。IAEA(国際原子力機関)は、原子力発電が安全かつ確立されたガイドラインの範囲内で行われることを保証する上で重要な役割を果たしている。しかし、IAEA から流出した文書は、東京電力と日本政府を支持すると宣言した同機関が、原子力発電所を否定的に描くような発言や、報道機関や世論に影響を与えるような情報発信を控えるよう助言していたことを明らかにしている。今回のスキャンダルで、IAEA と日本政府、そして東京電力との深いつながりが明るみに出るなか、本来高く評価されるべき国際機関としての IAEA の役割を考えることは重要である。曰く「福島原発の3つの炉心が完全にメルトダウンしたことによる廃水の排出プロセスは2011年に開始され、チョルノブイリ原発事故の危険レベルに匹敵する」「これはまた、福島の排水が通常の原子力発電所の排出過程といかに異なるかを浮き彫りにし、原子力発電所がもたらす危険性の大きさを示している」云々。
さらに「日本の環境省のウェブサイトによれば、蓄積された排水で処理された放射性同位元素は全体の半分に過ぎない」というが「今後10年間で、福島から放出された放射能汚染水は、トルコを囲むマルマラ海、地中海、エーゲ海、黒海を含む世界中の複数の海に拡散すると予想されている。最近の科学的研究は、これらの海での蒸発が生態系における工業放射能レベルをエスカレートさせることを示唆している。このような背景を踏まえると東京電力、日本政府、IAEA はなぜ、ガンや DNA 損傷、流産の増加、ホルモンバランスの乱れ、不健康な将来世代の増加など、世界中で起こりうる排出の悪影響を無視し続けるのか?世界の市民社会が提起した異議申し立てを無視し、海を核廃棄物の捨て場に変えてしまう根底には、その危機から生じる資本主義的慣行に触発された、より大きな目標がある」と指摘。そして「現段階では、プロセスを追う NGO が強調する問題点を明確にして対策を講じることが不可欠であり、韓国、中国、台湾、太平洋諸島など近隣諸国のコンソーシアムが関与して初めて現実的な解決策が生まれることを確認すべきである。この点で、1997年に爆発したチョルノブイリ原子力発電所の4号炉を外部の気象条件から守るために集まった40カ国が資金を提供し、2016年に完成した鋼鉄製ドームシェルター建設のプロセス管理を例に挙げることができる」と主張している。下記リンク先は論文の原文です。
The Discharge of Fukushima's Radioactive Water could be a Precedent for Similar Actions
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